日本のアマチュア・バンド 

第3級アマチュア無線技士以上の資格がないと運用できないバンド
第2級アマチュア無線技士以上の資格がないと運用できないバンド
バンド バンドの上限と下限 電波型式 特徴
1.8/1.9MHz帯(160m) 1810kHz-1825kHz, 1907.5kHz-1912.5kHz 電信だけが許可されている。主として1810-1825kHzは海外との通信、1907.5-1912.5kHzは日本国内との通信に用いられている。 中波帯としての性質から、夜間にDXが開けるがフェージングを伴うことが多い。波長が非常に長いため半波長ダイポールで約80メートルもの長さになるが短縮することで解決している局が多い。
3.5MHz帯(80m) 3500kHz-3575kHz 電信バンドは3500-3525kHz。和文電信が盛ん。フォーンバンドは3525kHz-3575kHzで、SSB(LSB)モードの交信が盛況。 HF帯に属す。空電ノイズの季節変動はあるが、伝播状態の季節変動は少なく、夜間にDXが開ける傾向がある。しかし7MHz帯に比べると電離層(特にF層)での反射効率が少し劣るため普通は数百km以内が限界。冬に交信する局が増えるが、これは7MHzで国内がスキップしやすいため。夜間はSSBモードののラグチューで花が咲く。
3.8MHz帯(75m) 3747kHz-3754kHz, 3791-3805kHz SSBで海外局とDX交信するためにCWとSSBなどで使われている。 HF帯に属す。3.5MHz帯は国際的な周波数割り当ての関係で日本と海外との交信に無理があることから3.8MHz帯が日本に割り当てられた。バンドの特徴は3.5MHz帯と同様である。
4.630MHz
(スポット)
4630kHz 非常呼出専用。電信オンリー。第3級アマチュア無線技士以上の資格が必要。 非常呼出専用のスポット・チャンネル。アマチュア局を含む全ての無線局が電信で非常通信をおこなうための周波数。警察局情報通信部や自衛隊に連絡を取ることができる。非常事態の発生を知った無線局は、4630kHzで毎正時からの5分間と毎30分からの5分間、ワッチする義務がある。自衛隊の関係もあり、和文電信や電報通信のスキルがあることが好ましい。
7MHz帯(40m) 7000kHz-7200kHz 電信バンドは7000kHz-7030kHz。特にバンドエッジ下端に近い7000kHz-7015kHzあたりで欧文電信によるDX通信が活発におこなわれている。そのすぐ上の周波数帯で和文電信も盛んである。フォーンバンドの7030kHz-7100kHzでSSB(LSB)モードのDX通信やラグチューがおこなわれている。 HF帯に属す。日中、北海道から沖縄に至るまで安定した交信が可能なため、HFの7MHz帯はVHFの144MHz帯と並んで最も人気があるバンド。加えて夜間は近距離ゾーンがスキップし、DXが開ける。かつて日本が所属する第3地域に割り当てられていた7MHz帯は7000kHz-7100kHzだが、2009年3月30日から7000kHz-7200kHzに拡張された。拡張された7100kHz-7200kHz帯は全ての電波型式を用いることができる
10MHz帯(30m) 10100kHz-10150kHz 日本では電信と狭帯域デジタルだけだが、SSBの運用もおこなわれている国がある。 HF帯に属す。WARCバンドのひとつで、日本では1982年4月から使えるようになった。10MHz帯で運用するには第2級アマチュア無線技士以上の資格が必要。10MHz帯ではコンテストはおこなわれていない。
14MHz帯(20m) 14000kHz-14350kHz 電信は14000kHz〜14100kHz(DXと珍局の宝庫)。フォーンバンドは14100kHz-14350kHz。SSB(USB)によるDX交信が盛んにおこなわれていて、画像通信にも使える。 HF帯に属す。アマチュア無線家にとって最もDXに向いている人気バンド。太陽活動の影響を受けやすいため閑散とする時期もある。ペディション局の大半がこのバンドを使う。運用には第2級アマチュア無線技士以上の資格が必要。
18MHz帯(17m) 18068kHz-18168kHz 電信バンドは18068kHz-18110kHz。フォーンバンドは18110kHz-18168kHz。 HF帯に属す。周波数が近い14MHz帯の性質に似ている。WARCバンドのひとつで、日本では1989年7月から使えるようになった(このときから24MHz帯も使えるようになった)。コンテストはおこなわれていない。運用には第3級アマチュア無線技士以上の資格が必要。
21MHz帯(15m) 21000kHz-21450kHz 電信バンドは21000kHz〜21150kHz。フォーンバンドは21150kHz〜21450kHzで、SSB(USB)による交信が盛んである。 HF帯に属す。第4級アマチュア無線技士にも運用が許されているうえ、電離層の反射効率が良いため10W程度の電力でオーストラリアなどの海外局と交信できるとして人気が高く、事実上、HF帯の入門バンドとなっている。しかし14MHz帯ほどの安定性はない。初夏から9月にかけてEスポによる国内交信が活発になり、それ以外の季節は海外交信が活発化する。
24MHz帯(12m) 24890kHz-24990kHz 電信バンドは24890kHz-24930kHz。フォーンバンドは24930kHz-24990kHz。 HF帯に属す。WARCバンドのひとつで、日本では1989年7月から使えるようになった(このときから18MHz帯も使えるようになった)。18MHz帯と同じWARCバンドだが、24MHz帯は第4級アマチュア無線技士(俗称・略称は4アマ)にも運用が許されている。しかし運用する人は少なく、閑散としていることが多い。バンドの性質は21MHz帯と28MHz帯の特性を併せ持っている。黒点数など太陽活動の影響を大きく受ける。コンテストはおこなわれない。
28MHz帯(10m) 28000kHz-29700kHz 電信バンドは28000kHz-28200kHz。SSB(USB)のフォーンバンドは28200kHz-29000kHz。FMモードのフォーンバンドは29000kHz-29300kHzと29590kHz-29610kHz。HF帯でFM電話を運用できるのは28MHz帯だけ。29510kHz-29590kHzと29610kHz-29700kHzでリピータ中継の交信がおこなわれている。 HF帯に属す。黒点数など太陽活動の影響で海外局などとのDX通信が小電力で可能だが、閑散としていることのほうが多い。夏季に突発的に発生するEスポでDXが開けることもある。
50MHz帯(6m) 50MHz-54MHz
(FMモードの呼び出し周波数は51.00MHz)
CW(電信)とEME(月面反射通信)の運用は50.00MHz-50.10MHz。SSB(USB)のフォーンバンドは50.10MHz-52.50MHz(うち51.00MHz-52.00MHzでFM電話を運用できる)。現在はUSBモードの電話運用が最も多い。かつてはAMモードの電話運用が主流だったが、1970年代半ばからSSBへ移行する局が増え、現在ではAMモード運用は一部の愛好家だけに留まっている。月面反射通信(EME)の利用が可能。 VHF帯の中で最もHF帯に近いため、HFとVHFの特性を併せ持つ。週末や祝祭日は移動運用局でにぎわうが、平日はEスポが発生していなければ閑散としている。Eスポ発生時は、パイルアップが起きるほどのにぎわいを見せる。Eスポによる海外交信や赤道横断伝搬通信などが奇跡的に実現する周波数帯であることから「ミラクル・バンド」「マジック・バンド」と呼称されることもある。HFの特性を併せ持ちつつ、波長が短いため、簡易自作アンテナや多エレメントのビーム・アンテナを建てやすく、アパマン・ハムからDX'erまで人気がある。
144MHz帯(2m) 144MHz-146MHz
(FMモードの呼び出し周波数は145.00MHz)
CWは144.02MHz-144.10MHz。FM電話は144.70MHz-145.65MHz。月面反射通信(EME)は144.00MHz-144.02MHz。衛星通信は145.80MHz-146.00MHzで運用されている。 VHF帯に属す。運用局が多い、無指向性・指向性のアンテナのサイズが手頃、ラグチューに向く、車にアンテナを設置しやすくモービル運用に向く、登山運用などでFMハンディ機が良く飛ぶ、といった理由で愛好者が多い。1960年以前は146MHz-148MHzもアマチュア無線に割り当てられていたが、現在は警察・消防無線が使っている。代償として430MHz帯がアマチュア無線に与えられた。
430MHz帯(70cm) 430.00MHz-440.00MHz
(FMモードの呼び出し周波数は433.00MHz)
CWは430.00MHz-430.10MHzで、FM電話は431.40MHz-431.90MHzと432.10MHz-434.00MHzで運用されている。リピータが全国各地に設置されていてリピータ中継交信もおこなわれている。月面反射通信(EME)は431.90MHz-432.10MHzで、衛星通信は435.00MHz-438.00MHzでおこなわれてる。実験・研究(全電波型式)は438.00MHz-439.00MHz。 UHF帯に属す。チャンネル数が144MHz帯より多くて混雑が少なく、約100km以内の見通し距離内で非常に安定した通信が実現し、不特定局へのCQが少なくない、などの理由で人気がある。144MHz帯の混雑の逃げ込み先という側面もある。また無指向性・指向性のアンテナのサイズが手頃である、近距離のラグチューに向いている、車にアンテナを設置しやすく移動運用に向いている、FMハンディ機が登山運用などで良く飛ぶ、といった理由で144MHzに次いで愛好者が多い。144/430MHz対応のデュアルバンドのFMハンディ機が多く市販されていることも人気のひとつ。
1200MHz帯(25cm) 1260MHz-1300MHz(FMモードの呼び出し周波数は1295.00MHz) 衛星通信は1260.00MHz-1270.00MHz。ATV(アマチュアテレビ)と高速デジタルは1273.00MHz-1290.00MHz。FM電話は1294.60MHz-1295.80MHz。FM電話モードの運用が多い。月面反射通信(EME)は1295.80MHz-1296.20MHz。1296.20-1300.00MHzは実験・研究用(全電波型式)。 UHF帯に属す。波長が非常に短いため直進性が強い。技術的にリグやアンテナやケーブルを自作するのは難しいが、これに挑むアマチュア無線家もいる。リピータが存在するが、稼働中のものは数少ない。1200MHz帯のハンディ機が市販されている。
2400MHz帯(12cm) 2400MHz-2450MHz(呼び出し周波数は2427.00MHz) 衛星通信は2400.00MHz-2405.00MHz。JARLのリピータによる通信は2405.00MHz-2407.00MHz。ATV(アマチュアテレビ)と高速デジタル通信は2407.00MHz-2424.00MHz。CW・SSB・画像・月面反射通信(EME)は2424.00MHz-2424.50MHz。 UHF帯に属す。波長が非常に短いため直進性が強い。
5600MHz帯 5650MHz-5850MHz(呼び出し周波数は5760MHz) 衛星通信は5650MHz-5670MHzと5830MHz-5850.00MHz。ATV(アマチュアテレビ)と高速デジタルは5690MHz-5725MHz。他にリピータ中継、研究・実験ができる。 SHFに属する。波長が非常に短いため直進性が強い。
10.1GHz/10.4GHz帯 10GHz-10.25GHz、10.45GHz-10.5GHz(呼び出し周波数は10.237GHz) ATV(アマチュアテレビ)と高速デジタルは10.025GHz-10.080GHz。全電波型式の運用は10.450GHz-10.500GHzと10.242GHz-10.245GHz。電信とSSBの運用は10.240GHz-10.242GHz。 他にリピータ中継、研究・実験などができる。 SHFに属する。波長が非常に短いため直進性が強い。
24GHz〜250GHz 24GHz-24.05GHz, 47GHz-47.2GHz, 75.5GHz-76GHz(2006年末に廃止), 77.5GHz-78GHz, 134GHz-136GHz, 248GHz-250GHz 衛星通信、ATV(アマチュアテレビ)、リピータ中継、研究・実験などがおこなわれている。 SHF〜EHFに属する。波長が非常に短いため直進性が強い。