ま〜も

本章の目次

           

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◆マーカー発信器
marker oscillator
受信機のダイヤル較正などに用いる基準周波数発信器。これを内蔵している通信型受信機も市販されている。「較正(こうせい)」「通信型受信機」を参照。

◆マーチン
Horace G. Martin
1903年にバイブロプレックスのバグキーをデザインしたことで知られるアメリカ人。

マーチン・フラッシュ

◆マイカ・コンデンサ
mica condenser
雲母の薄片を電極ではさんで誘電体としているコンデンサ。micaは天然鉱物である雲母(うんも)のことで、温度係数が小さく安定性に優れているため、周波数特性に優れているマイカ・コンデンサは高周波用に使われてきた。1940年代半ば、チタン酸バリウムが雲母よりも誘電率がさらに優れていることがわかり、これを誘電体に用いたセラミック・コンデンサが多く使われるようになった。

◆マイク・コントロール
microphone control
3人以上が参加してフォーンで交信するときに司会役として仕切ること。英語圏でマイク・コントロールというとマイクの音量をボリュームで調整すること。米国MFJ社の製品ではマイク切替機能などを搭載した装置を「Microphone Control Center」という。

米国MFJ社のMicrophone Control Center

◆マイク・コンプレッサ
microphone compressor
「オーディオ・コンプレッサ」「スピーチ・プロセッサ」ともいう。電話交信のためのSSB送信で、マイクから入る音声信号が強すぎると音声と電波が歪むので自動的に音量を下げる。またマイクから入る音声信号が弱すぎると交信相手が聴き取りにくいので自動的に音量を上げる。

◆マイクロ
micro
100万分の1を表す単位。記号は「μ」。マイクロ・ファラッドは「μF」と表記する。

◆マイクロ衛星
micro satellite
重量100kg以下の超小型衛星。さらに小さな重量10kgから1kgほどのものは「ナノ衛星」と呼ばれている。いずれもロケットではなくジェット機で打ち上げる選択肢も前提としている。打ち上げの決断から1時間以内に軌道へ発射でき、費用も一回当たり数十万ドル程度と低予算で可能である。民生用だけでなく軍事用にも転用が可能。

◆マイクロ波
microwave
「マイクロ波」または「マイクロウェーブ」とは300MHzから3GHzのUHF帯と3GHzから30GHzのSHF帯の電波の総称である。主に電話網の固定通信に用いられているが、アマチュア衛星通信を含む衛星通信、レーダーなどで利用されている。電子レンジの加熱はマイクロ波を利用している。

◆マイコン
microcomputer
マイクロコンピュータの俗称。小型コンピュータという意味と、コンピュータの中枢機能を持つコンポーネント(CPU機能を1個のチップに組み込んだもの)の意味とが混在している。後者はマイクロプロセッサ(microprocessor unit)ともマイクロプロセッシング・ユニット(microprocessing unit:略してMPU)とも。MPUは電卓の製造を通じて開発され、その後のパソコンの母体となった。パソコンの最初の母体は、米国のミッツ(MITS)社が作った「マイコン・トレーニング・キット」で、インテル社が1974年に開発した8080を使った。マイコンを用いていない機械は無いというほど多用されている。

◆マックキー
McElroy Mac-Key
「Mac-Key」を参照。

◆マッケロイ
McElroy
「McElroy」を参照。

◆マップ
map
地図、天体図、図解を指す言葉。アマチュア無線用のマップには、ビームアンテナを用いてDX通信やDX受信をする際、ビームアンテナをどの方位に向けると良いかを見るための「ビームマップ」や、CQゾーンやITUゾーンの区割りを見るための「ゾーンマップ」(ゾーニング・マップとも)などがある。

◆マグネット
magnet
「磁石」「磁鉄」。車載用の垂直アンテナを車の屋根などに簡単に据え付けるためにマグネット基台(Magnetic Antenna Mount Base)が用いられている。

◆マスク
mask / MASK
「覆い隠す」という意味。交信中の相手局の信号が、他の電波に覆い隠されて交信できなくなること。

◆マスター・オブ・セレモニー
Master of Ceremonies / M.C.
3人以上が参加してフォーンで交信するときの進行役。「マイク・コントロール」を参照。

◆マスト
mast
アンテナの柱や鉄塔。太い竹竿、木柱、金属板を井型に組んだタワー、鉄製の円筒をいくつか繋いで立てるパンザマストなどがある。「パンザマスト」を参照。

◆抹消カントリー
deleted entities / deleted countries
かつてARRLが承認して存在していた「カントリー」(現在はエンティティと呼ぶ)が、政治的に併合されたりして抹消されてしまった幻のカントリー。チベットの AC4 の例が有名である。本書の「
抹消されたエンティティ」や「DXCC」を参照。

◆マッチング
matching
整合をとること。アンテナ周りなどのインピーダンスの整合をとって効率を高めること。日本の俗語では「家族と良い人間関係を保つこと」。

◆マッチング・ボックス
matching box
アンテナと給電線と整合をとるための箱状の装置。八木アンテナなどの給電点の近くに取り付ける。

◆マニピュレータ
manipulator
電鍵、特にエレキーを駆動する横振れ電鍵のこと。マニピュレータは遠隔操縦装置という意味で、「エレキーの電子回路を操って送信機からモールス符号を打電する装置」というニュアンスがある。

◆マニュアル
manual
操作説明書。無線機器やコンピュータや周辺機器に添付されている純正マニュアルだけでなく、出版社がつくるマニュアル的なガイドブックもある。マニュアルには「手動の」という意味もある。

◆マリタイム・モービル
maritime mobile
「海上移動」。船舶から運用すること。ARRLの国際マリタイム・モービルのガイドライン。「オケラネット」を参照。

◆マルチ
multi
「いくつもの」を意味する連結語。マルチバンド(複数の周波数帯)、マルチバンダー(複数の周波数帯に対応するリグやアンテナ)などと用いる。

◆マルコーニ
Guglielmo Marconi
イタリアの電気技術者で無線電信の発明者、ググリエルモ・マルコーニ(1874〜1937)。無線電信により、1899年にイギリス海峡横断の通信を、1901年に大西洋横断の通信にそれぞれ成功した。1909年にノーベル物理学賞を受賞した。
 1897年は英国ロンドンで無線電信会社を創業、同社は後にマルコーニ無線会社となった。同社は各国に現地法人を設立して欧米の無線通信事業を独占した。米国マルコーニは1919年にGE社に買収されてRCAとなった。


© The Nobel Foundation

◆マルコーニ無線会社
Marconi Wireless Telegraph Co.
マルコーニが創設した企業。1910年代の「MARCONI NAVY TRANSMITTER TELEGRAPH MORSE CODE KEY」はコレクターの間で珍重されており、2,000ドルかそれ以上で売買されている。

◆回り込み防止
-
マイクとリグの間、電鍵と外付けのエレキーの間、電鍵とリグの間に長いケーブルを用いると、自分の送信電波がケーブルに回り込んで、ノイズや変な符号が出たりする可能性がある。このため、ケーブルはなるべく短くし、さらにケーブルにシールド線を用いたり、フェライトコア(フェライトビーズ)を抱かせたりするのが良い。アンテナの整合が悪いと回り込みが発生しやすいので要注意である。



◆ミーティング
meeting
「会合」のこと。あらかじめ約束し合った日時と周波数で複数の局が参加してQSOする「オンエア・ミーティング」、野外でピクニック風に楽しむ「フィールド・ミーティング」、アマチュア無線クラブの会合など。 ◆ミクロン
micro
100万分の1を表す単位の旧称。現在は「マイクロ」という。記号は「μ」。マイクロ・ファラッドは「μF」と表記する。

◆ミッター
transmitter
送信機を意味する俗語。和製英語的なつづめ読み。「X-Mitter」は送信機のこと。

◆ミニパワー
mini power
小電力。「QRP」はミニパワーを意味するQ符号。

◆ミリメートル波
millimeter wave
波長が10mm〜1mm、周波数帯は30GHz〜300GHzのもの。EHFに分類されている。大気内の酸素や雨や霧に吸収されたり散乱したりして減衰が激しく遠距離まで達しにくい。波長が非常に短くて帯域幅が広いため、近距離の広帯域画像伝送、超多重通信や高分解能レーダー、衛星通信や電波天文に利用されている。アマチュア無線では47GHz-47.2GHz, 77.5GHz-78GHz, 134GHz-136GHz, 248GHz-250GHzが割り当てられている。研究と開発の余地が多いバンドである。「ミリ波」と略すこともある。



◆無指向性
omnidirectional / omni-directional
電波などが全方向に向かう性質。「オムニ・ディレクショナル」。

ほぼオムニ・ディレクショナルな指向性

◆無指向性アンテナ
omnidirectional antenna / omni-directional antenna
バーチカル・アンテナなどのように指向性を持たないアンテナ。送信時は、特定の方向に電波を絞らないため効率が悪いが、どの方角にいる局にも電波が届くメリットがある。受信時は、特定の方向の電波を強くとらえることはできないが、どの方向から珍局の入感があるかわからないときに有利である。対語は「指向性アンテナ」。

◆無線局免許
station license
従事者免許とは別に、開局に必要な免許。技術基準を満たす無線設備に与えられる。総務大臣または各地方の総合通信局長が交付する。「局免許」「局免」と略すこともある。「無線局従事者免許」を参照。

◆無線従事者免許
amateur radio operator license / amateur radio license / ham radio license
日本では
日本無線協会が実施する国家試験を受験して合格すると交付される。第四級アマチュア無線技士(空中線電力10W以下の無線設備/CWを除く)、第三級アマチュア無線技士(空中線電力50W以下の無線設備)、第二級アマチュア無線技士(空中線電力200W以下の無線設備)、第一級アマチュア無線技士(空中線電力が1,000W以下の無線設備)がある。JARD(日本アマチュア無線振興協会)が養成課程講習会を開催し、法規や無線工学の授業をおこなっている。アマチュア無線従事者免許を「従事者免許」と略すことがある。
アメリカではアマチュア無線従事者免許の試験は、FCCの職員ではなく、ボランティアのアマチュア無線家チーム(VEC:Volunteer Examiner Coordinator)がおこなっている。日本の第四級アマチュア無線技士に相当するのは「Technician」、第三級は「CW試験合格済みのTechnician, Novice」、第二級は「Advanced, General, Conditional」、第一級は「Amateur extra」。

◆無線通信
radio communication / wireless communication
物理的な伝送メディアを使わない通信形態。アマチュア無線のような無線通信のほか、携帯電話などの移動体通信や無線LAN、無線インターネット、衛星通信などがある。無線通信の伝送メディアは電波が主流である。他方、物理的な伝送メディアでおこなう通信は「有線通信」(Wire Communication)と呼ばれている。

◆無線通信規則
Radio Regulations / RR
通信衛星の利用方法や無線局の運用方法などの国際ルールである「RR:Radio Regulations」のこと。RRの改訂は「世界無線通信会議」(WRC:World Radiocommunication Conference)がおこなう。「世界無線通信会議」は「国際電気通信連合」(ITU)のITU-R(無線通信部門)に属す国際機関である。

◆無変調
no modulation
搬送波(キャリア)が変調されていない状態、またはその状態の電波。



◆メイク接点
make contacts of relay
電圧ONで閉じ、電圧OFFで開くよう設計されたリレーの接点。対語は「ブレイク接点」(break contacts of relay)。

◆メインダイアル
main dial
無線機で、周波数を連続的に変えるための回転ツマミ。トランシーバでも受信機でも最も大きなサイズとなっている。「メインダイヤル」ともいう。

◆メインチャネル
main channel / calling frequency
日本で「メインチャネル」といえば50MHz以上の周波数帯におけるFMフォーンモードの呼び出し周波数。俗称「メンチャン」。英語圏ではメインチャネルと言わず「コーリング・フレケンシー」(calling frequency)という。

        日本のメインチャネル
        50MHz帯(6m) -------- 51.00MHz
       144MHz帯(2m) ------- 145.00MHz
       430MHz帯(70cm) ----- 433.00MHz
       1200MHz帯(25cm) ---- 1295.00MHz
       2400MHz帯(12cm) ---- 2427.00MHz
       5600MHz帯 ----------- 5760MHz
       10.1GHz/10.4GHz帯 -- 10.237GHz

◆メガ
mega
100万(1,000,000)倍の単位表現。メガはキロの1,000倍である。メガの略号はM。

◆メガバイト
mega byte / MB
1メガバイト(MB)は1,024KB(2の10乗KB)。コンピュータの容量の場合、2の累乗で計算するため端数が出る

◆メカニカル・フィルタ
mechanical filter
「機械構造型フィルタ」。受信機の中間周波段で455kHzのメカニカル・フィルタを用いるのが代表的。俗に「メカフィル」ともいう。

◆メッセージ・キーヤー
message keyer
モービル符号の送信文をメモリーに記憶させておく電子装置。メモリー・キーヤーとほぼ同じ装置。

◆メモリー・キーヤー
memory keyer
CQや自局のコールサインを記憶させておく電子装置。コンテストのときに威力を発揮する。メモリーキーヤーにパドルなどの電鍵をつなぎ、送信したい内容を打鍵して記憶させる。米国MFJ社のMFJ-492/490などが人気機種。国産のアイコムIC-756PROシリーズ機などの高級機はメモリーキーヤーを内蔵している。

ベンチャーのパドルを内蔵したメモリーキーヤーのMFJ-490

◆メモリー・スキャン
memory scan
あらかじめ周波数をいくつかメモリーに記憶させ、自動的・連続的にその受信周波数(受信チャネル)をワッチし、状態をチェックできるが、この機能をメモリー・スキャンという。複数のバンドをまたがって自動的にスキャンするよう設定できる機種もある。「プログラム・スキャン」を参照。

◆メモリー・チャネル
memory channel
メモリーに記憶させた周波数(チャネル)。トランシーバの前面パネルに「M.CH」などと表示されているボタンを見ることがある。

チャネル・メモリー付きのハンディ機

◆メリット
merit
了解度のこと。英語圏では readability という。

◆メンチャン
main channel / calling frequency
「メインチャネル」のつづめ言葉。「メインチャネル」を参照。



◆モービル
mobile
「モバイル」ともいう。アマチュア無線では車で移動運用することをいう。一般には、携帯電話などで通話・通信をおこなうことをモバイル通信(移動体通信)といい、移動先でノートパソコンなどをインターネットにつないで通信をおこなうことをモバイル・コンピューティングという。

◆モールス
Samuel F. B. Morse
モールス符号を考案したサミュエル・モールス(Samuel Finley Breese Morse)というアメリカ人(1791〜1872)。1810年、エール大学を卒業。1835年にニューヨーク市立大学の美術学教授となり、また画家としても活躍し始めた。1832年、欧州からアメリカへ向かう大西洋上の船で、乗客の一人からファラデーが電磁誘導の研究に成功した話を聞いて、電磁石を利用すれば有線で符号通信ができると考えた。こうして帰国したモールスは遠隔地のベルを鳴らす試みに成功する。モールスは、ニューヨーク市立大学の学生だった16歳年下のアルフレッド・ベイル(Alfred Vail、1807-1859)の協力を得て、現在のモールス電信符号の体系を作り上げた。1837年にはモールス符号を用いた印字電信機を開発した。1844年5月24日にはアメリカ東海岸のワシントンDCとボルチモアの間で通信実験がおこなわれたが、このときモールスが用いた電文は「What hath God wrought」(神の御業により創造し給うたもの)であった。モールスは後に電信会社を創業している。
写真とイラストで故人を忍ぶ

サミュエルキーとも呼ばれている1844年-1845年当時の電鍵

Photo by Kent

ありし日のモールス

◆モールス符号
morse code
モールスコードともいう。サミュエル・モールスとアルフレッド・ベイルが考案した通信コード。英文のアルファベットのうち、出現頻度が高いEに「・」を、Iに「・・」を割り当てるなどしてモールス通信の効率化に貢献したのはベイルその人である。
 当初は紙テープに印字したり穴を開けたりしていたが、現在では電鍵が伝える電気信号の有無を無線機が読みとって電波の搬送波の有無に直して送信し、受信側は低周波信号の有無の音響(トンツー)に変換して情報を読みとっている。何かの理由で電波が使えない場合、海上で投光器を使って光でモールス符号を送受することもある。アマチュア無線が始まったのはいつかについては諸説があるが、1902年、または1910年ないしはその数年後、モールス符号を使った形式でスタートしたと言われている。郵便局は1963年(昭和38年)にモールス符号の電信による電報を廃止した。
アルファベットや数字を入力すると自動的に音に翻訳するサイト

欧文のモールス符号が基台の表面に刻まれている珍しい電鍵

 © OZ2CPU

◆文字通信
text communication
文字(テキスト)を送受する通信形態。アマチュア無線ではRTTY(ラジオテレタイプ)やパケット通信(アマチュア・パケット無線)が代表的。文字を画像として送受するファクシミリ通信は画像通信に分類されている。「RTTY」「アマチュア・パケット無線」を参照。

◆モデム
modem / modulator demodulator
変調と復調の機能を1つの筐体か基板に備えている通信装置(変復調装置)。インターネットにダイヤルアップで接続するモデム、DSLサービス用のDSLモデム、CATVインターネット用のケーブルモデムなどがある。

◆モニター
monitor
コンピュータのディスプレイのこと。リグの作動状態を監視すること。


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