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本章の目次

           

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◆ダーリントン接続
Darlington connection
複数のトランジスタを直列につないで増幅度を上げる接続方法。トランジスタの出力を次のトランジスタの入力にする。

◆ダイアル
dial
無線機などの機器で、周波数や音量などを連続的・断続的に変えるための回転ツマミ。または「指針盤」。「ダイヤル」ともいう。

◆帯域幅
bandwidth
電気通信における伝送能力を示す尺度。「バンド幅」とも。アナログ通信では周波数の単位のヘルツを用いて帯域幅を表現し、デジタル通信ではbps(1秒当たりのビット数)を単位として表現している。帯域幅が狭いことを狭帯域(ナローバンド)といい、広いことを広帯域(ブロードバンドまたはワイドバンド)という。帯域幅は通信速度とほぼ同義。

◆待機
standby / stand by
受信しながら待つこと。「スタンバイ」とも。standbyは名詞・形容詞、stand byは動詞として用いられる。

◆大圏コース
great-circle route
地上の任意の2点を結ぶ最短のルート。海外のDX局と交信しているとき、電波が短い距離のパス(進路)で届くことを「ショートパス」(short path)というが、ショートパスは大圏コースを通路としている。逆に地球の周りを遠回りして届くのが「ロングパス」(long path)。大圏航法とは航空機や船舶が大圏コースにしたがって運航する航法。

◆大地反射
ground reflection
地球の表面に電波が反射すること。電離層の場合は「電離層反射」といい、月の場合は「月面反射」という。太陽熱発電(solar thermal power system)や太陽熱収集器(solar collector)では、太陽光が地表から太陽熱収集器へ反射すること。

◆大地反射波
ground-reflected wave
地球の表面に反射して伝搬する電波。他方、「地表波」は地球の表面に沿って伝って伝搬する。

◆ダイナミック・レンジ
dynamic range
音声などを増幅したり録音したりするシステムが処理できる信号の最大値と最小値の比。dB(デシベル)で表す。一般に、最も強い音はシステムの歪みなどで制約され、最も弱い音は雑音で制約される。

◆ダイバーシティ受信
diversity reception
フェージング(受信信号強度の時間的変動)を伴って聴き取りにくい電波信号のフェージングを軽減するテクニック。フェージングは、受信地点や偏波などが変わると、弱くなったり強くなったりする。この性質を利用して対策を講じるのがダイバーシティ受信である。複数のアンテナを離れたロケーションに設置し、受信した電波を合成する手法は「スペース・ダイバーシティ」という。垂直アンテナと水平アンテナを組み合わせて垂直偏波と水平偏波を合成する手法は「偏波・ダイバーシティ」という。

◆ダイプレクサ
diplexer
二つの周波数の信号入力を合成して一つの出力にするデバイス。たとえば144/430MHz対応のデュアルバンド・トランシーバと、144/430MHz対応のデュアルバンド・アンテナをつなぐためなどの目的で用いられている。「ディプレクサ」とも。「デュプレクサ」を参照。

◆ダイポール・アンテナ
dipole / dipole antenna
ダイポールの原意は「2極」。長さが等しい2本のワイヤー(エレメント)を絶縁碍子の両端にそれぞれ結び、絶縁碍子を中央として2本の柱の頂部に左右対称に張るのがダイポール・アンテナ。各エレメントの長さは1/4波長(アンテナ全体で1/2波長)とするが、長さを微調整して整合をとる必要がある。給電点の中央部では2本のエレメントの端にそれぞれフィーダ(給電線)をつなぐ。自作が簡単なことからアマチュア無線用のアンテナとしては最もポピュラーである。水平に張ったものを水平ダイポールという。垂直に張ったものを垂直ダイポールという。別名「ダブレット・アンテナ」(doublet antenna)とも。略称「DP」。

◆タイムアウト
time out
(時間切れなどによる)「中断」。無線LANでIPアドレス取得にかかる制限時間を超えてネットワーク接続ができなかったり、リピータ(VHF帯などの中継装置)の利用制限時間を超えたときに中継を停止して「タイムアウト」になる。

◆タイムコンスタント
time constant
「時定数」のこと。持続する時間の長さの定数。電気回路で、たとえばC(コンデンサ)とR(抵抗器)のCR回路では、時定数はCとRの積(T=C×R)(T=F×Ω)となる。「じていすう」とも「ときていすう」とも。記号は「T」または「τ」(ギリシャ文字)。

◆ダイヤル
dial
無線機などの機器で、周波数や音量などを連続的・断続的に変えるための回転ツマミ。または「指針盤」のこと。「ダイアル」ともいう。

◆太陽黒点数
Sun Spot Number
「SSN」と略す。太陽黒点とは太陽の光球面で観測される黒い斑点。西洋ではガリレオ・ガリレイ(1564〜1642年)が初めて望遠鏡で発見したという。直径は1万km前後だが、時には10万kmにも及ぶ。諸説あるが、個々の太陽黒点は数時間から数ヵ月で消滅する(大きい黒点ほど長寿命)。高温であることから最大3,000ガウスもの磁場を発生する。太陽活動にはサイクルがあり、太陽黒点数は11年周期(または最短9年、最長14年)で増減し、太陽活動期に太陽黒点数が多い。最近では西暦2000年前後に太陽活動がピークに達したが、2004年の一時期は完全に消滅する日もあった。太陽黒点数が多い時期は太陽からの紫外線やエックス線や微粒子線の放射が活発なため磁気嵐やオーロラなどの現象が起こりやすくなる。地球の電離層は太陽黒点数に影響を受けやすい。太陽黒点数が増えると、特に6MHzから30MHzあたりの短波帯以下の無線通信で影響を受ける。アマチュア・バンドでは14MHz帯と24MHz帯と28MHzで影響が顕著である。

◆太陽風
solar wind
太陽のコロナ(白い光冠)から吹き出すプラズマ流(電子とイオンの“風”)。太陽風は数日で約1億5000万km離れた地球に達する。このときの平均秒速は350〜700km、粒子密度は1立方cm当り1〜30個である。地球磁気圏やバンアレン帯に影響し、電離層に影響を与える。

太陽風指針盤(solar wind dials)

◆対流圏波
tropospheric wave
対流圏を伝播する電波。対流圏では電波が屈折するため、見通し範囲にない地点にも電波が届く。この現象がおこる空間を輸送管のダクトにたとえて「ラジオダクト」(radio duct)と呼ぶ。気象変動でしばしばフェージング(受信信号強度の時間的変動)が発生する。対流圏は成層圏の下にあり、圏界面(成層圏と対流圏の境界)から地球の表面までの大気圏を「対流圏」という。高度は北極・南極で約8,000メートル、赤道で約17,000メートル、中緯度地域では約11,000メートル。

◆ダイレクト
direct
「直行」などの意味で用いられている言葉。ビューローを経由せずにQSLカードを郵便などで直接やりとりすること。直接やりとりするQSLカードを「Direct QSL Card」と表現する。

◆ダイレクト・コンバージョン・レシーバ
direct conversion radio receiver
「直接変換無線受信機」。中間周波数(IF)段を経由せずに高周波入力信号を復調する方式の受信機。

◆ダウンバータ
down converter
「ダウン・コンバータ」の略称/俗称。電圧や周波数を下げる変換器。たとえば24V仕様の車で12V仕様の機器を使いたい時に用いるのは「DC-DCダウンバータ(DC24V-DC12V)」。50MHz帯仕様のリグで27MHzを運用したりするために用いる。「アップバータ」を参照。

◆ダウンリンク
downlink
衛星通信で、人工衛星から地上に送り返してくる電波がダウンリンク(下り回線)。逆に地上から人工衛星へ送信する電波がアップリンク(上り回線)。

◆ダクト
radio duct
対流圏(中緯度地域で高度約11,000m)では電波が屈折して見通し範囲にない地点にも電波が届くが、この現象がおこる空間を輸送管のダクトにたとえて「ダクト」または「ラジオダクト」と呼ぶ。「日本海ダクト」「対流圏波」を参照。

◆打鍵
keying
電鍵のレバーを縦または横に押したり叩いたりして電信を打つこと。

◆たすきがけ
split operation
和服の袖をたくしあげるため両肩から両脇にかけて結ぶ襷(たすき)は、結んだときの形が十文字であることから、いくつかのものをクロスさせることを「たすきがけ」という。アマチュア無線の交信では、二つの無線局が同一周波数を用いて、片方が通信し終わると「どうぞ」または「k」(−・−)と送信して代わる代わる交信するシンプレックス(単信方式)が一般的だが、送信周波数と受信周波数を別々にして交信すると、携帯電話のように送受の切り替えをしなくても同時通話ができる。このとき、双方の送信機と受信機が、まるで“たすき”のようにクロスしてつながることから「たすきがけ運用」と呼ばれる。「スプリット運用」(split operation)ともいう。「シンプレックス」を参照。

◆タップ
tap
米語で「電気を分けて取るための差し込み口」。コイルや抵抗器の値を変えるため途中に設けた口出し接続点。

◆縦振れ電鍵
straight key / hand key
横(左右)に打つ方式に対し、縦(上下)に叩く方式のこと。縦振りともいう。縦振れ電鍵では短点または長点の自動送出ができない。なお「縦振れ」「横振れ」ではなく「縦振り」「横振り」と表現することも多い。

◆ダブラー
doubler
電圧や周波数を二倍にするデバイス。入力周波数の高調波を取り出して二倍の周波数信号を生成する回路もダブラー(周波数2逓倍回路)である。

◆ダブる
transmit simultaneously
交信中の双方の局が同時に電波を出してしまうハプニングを「ダブる」「ダブった」という。

◆ダブルH
double H
欧文モールス符号の訂正符号「HH」(・・・・ ・・・・)。

◆ダブルコール
callsign with double characters
コールサインのサフィックスが「JA1AA」のように同一の二文字で構成されているもの。
ARRLによる「バニティ・コールサイン(自慢のコールサイン)」(Amateur Radio Vanity Call Signs)では、自分個人の頭文字(たとえばトム・ペレラならW1TPなど)のほか、W1WWやW1WWWのような“ぞろ目”コール(double or triple duplicate characters)もバニティ・コールサインの一種だとしている。

◆ダブルスーパー
double super-heterodyne
ヘテロダインを参照。

◆ダブレット・アンテナ
doublet antenna
ダイポール・アンテナの別名。

◆たま
bulb / tube / vacuum tube
電球の「球」(たま)。真空管(tube)の俗称。

◆ダミーロード
dummy load
「擬似負荷」。無線機の送信性能を測定するか実験したいとき、実際にアンテナから電波を出しておこなうと他の通信を妨害する恐れがあるため、アンテナの代わりにダミーロードに出力して測定・実験をおこなう。自作可能だが、100Wや1kWといった仕様のダミーロードが市販されている。

◆タレント・ハム
TV personality ham / famous entertainer ham radio operator
芸能界に属するアマチュア無線家。米国のサイト有名人ハムのリストで芸能人や実業家などのハムのコールサインと職業が公開されている。

◆タワー
tower
塔。アンテナ・タワーは鉄製が多いがアルミ製のものもある。塔の下部を深く埋める自立型、ステーを張って強度を保つステー型、屋根に上げるルーフタワー(屋根馬型)がある。

◆タンク回路
tank circuit / LC circuit
「共振回路」(resonance circuit)の別名。電気振動を共振させる回路。コイル(インダクタ/インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタ/キャパシタンス)で作るのが一般的。コイルの記号Lと、コンデンサの記号CをとってLC回路とも。

◆短縮コンデンサ
loaded condenser
アンテナのエレメントににコイルかコンデンサを挿入することで共振周波数を変化させることができるが、エレメントが長すぎるときに挿入するのが短縮コンデンサ(ローディング・コンデンサ)で、エレメントが短すぎるときに挿入するのが延長コイル(ローディング・コイル)。「延長コイル」を参照。

◆短点
dot
ドット。「ツートツート」の「ト」。モールス送信では、短点と長点とスペースの比率が一定でなければならない。

◆短点メモリー
dot-memory
エレクトロニック・キーヤーに搭載されている機能のひとつ。パドルでの打鍵を助けるためにあり、たとえばモールス符号のAを出すとき、短点を打ってからすぐ長点を打ってもスムースに「・−」となる。同様にモールス符号のNを出すとき、長点を打ってからすぐ短点を打ってもスムースに「−・」となる。パドルで正確に高速に打鍵するのに非常に便利な機能である。後者は「長点メモリー」という。この機能はエレクトロニック・キーヤーに搭載されている半導体メモリーに長短点の信号を一時的に蓄えて実現している。短点メモリーと長点メモリーを合わせて「長短点メモリー」(dot/dash-memory)といい、この機能を搭載したエレクトロニック・キーヤーとデュアル・レバー(2枚のレバー)の電鍵を組み合わせると、スクイーズ(2枚のレバーを同時に内側に押すこと)により短点と長点の交互自動送出が実現する。「エレクトロニック・キーヤー」「iambic」「スクイーズ」を参照。

◆短波
short wave / high frequency / HF
波長の短い電波(周波数の高い電波)を表す言葉。波長100m〜10m、3MHz〜30MHzの電波帯。電離層(特にF層)の反射で遠距離(DX)へと伝わるため、小電力で海外と国際通信を楽しむことができる。HF(high frequency)の定義とほぼ重なるため短波とHFを同義語で使う人が多い。

◆短符
dot
ドット。短点のこと。短点の長さを1とすると、長点は3、文字と文字の間隔は3、単語と単語の間隔は7が正しい。ただし極端な高速打鍵、または低速打鍵では、必ずしもこの比率が適切とは限らない。



◆中間周波数
intermediate frequency
「IF」と略す。受信機の回路で、受信した信号をその周波数のまま検波すると動作が不安定になるため、いったん適切な周波数に変換してから検波や増幅をおこなう。この周波数を中間周波数という。この中間周波数への変換を一回だけおこなう方式をシングル・スーパーといい、二回おこなう方式をダブル・スーパーという。

◆中軌道衛星
Middle Earth-Orbiting satellite
高軌道衛星の同期衛星と、低軌道衛星の中間の高度を周回する人工衛星。MEOと略すことがある。

◆チェックイン
check in
ホテル到着時に宿泊の手続きをして鍵を受け取る、空港で搭乗手続きをして搭乗券を受け取るなどの手続き。アマチュア無線団体が主催するさまざまな催しに参加する手続きをとること。

◆地上波
ground wave
電離層反射や人工衛星を経由せず、地上を伝わる電波(グラウンド・ウェーブ)。「直接波」(2点間を直線状に伝搬)、「大地反射波」(地球の表面に反射して伝搬)、「回折波」(山やビルなどの障害物や地面にぶつかって回り込んで伝搬)、「地表波」(地表に沿って伝搬)がある。テレビ放送で一般に「地上波」と呼ばれるものは、衛星放送ではない従来型の放送、という意味合いで用いられている言葉。

◆地図
map
アマチュア無線では「マップ」ということが多いが、マップは天体図や図解も含む。アマチュア無線用の地図には、ビームアンテナを用いてDX通信やDX受信をする際、ビームアンテナをどの方位に向けると良いかを見るための「ビームマップ」や、CQゾーンやITUゾーンの区割りを見るための「ゾーンマップ」(ゾーニング・マップとも)などがある。

◆チップ
chip
ウエハー上に形成された半導体の電子回路の小片。俗に「石」。ICチップ、LSIチップなどともいう。多くは1辺が15mm前後の四角形。ひとつのチップ上に並べるトランジスタの数を集積度という。

◆地表波
ground wave
電波の伝搬の仕方を分類した言葉の一つ。地上波と同じく「グラウンド・ウェーブ」とも言うが、地上波よりも狭義で用いられ、大地の湾曲に沿って地表で伝搬する電波を地表波と言う。

◆チャージ
charge
アマチュア無線の俗語で「食事」のこと。バッテリーの充電をチャージと呼ぶことの連想に由来するという。

◆チャージャー
charger
バッテリーの充電器。

◆チャタリング
chattering
スイッチやリレーの接点が切り替わる直後、信号が、非常に短い時間、断続を繰り返す現象。電信では、長短点送出の電鍵操作をしているときに送信機搭載のリレーの可動部分がバタバタした場合、信号音に乱れが生じたりして電波の質が悪くなる。古い機種や自作機に時折みられる現象で、極東のUA局の電信にチャタリングを聞くことがある。

◆チャネル
channel
「通信路」。交信に用いられている特定の周波数。たとえば144MHzのFMモードでは145.000MHzの呼び出し周波数(メインチャネル、俗称メンチャン)の上下20kHz刻みのチャネルで交信している人たちが多い。

◆チャネル・チェック
channel check
いまから交信に使おうとしているチャネルが使用中かどうかを確認する言葉。「このチャネル、使ってますか?」と同じ意味。FMモード交信の呼び出し周波数(メインチャネル、俗称メンチャン)でチャネル・チェックをする習慣は無く、サブチャネルで用いる。「メンチャンでYLさんがチャネル・チェックしているのを聞いた。同じ日、踏切内の線路の真上で一時停止しているメスドラを見た」という小話がある。

◆チャネル・メモリー
channel memory
特定のチャネル情報(周波数や運用モード)を記憶するメモリー。送信時または受信時にボタンを押したりしてチャネルを変更できる。トランシーバに搭載されている。「メモリー・チャンネル」と呼ぶこともある。

チャネル・メモリー付きのハンディ機

◆チャンネル
channel
「チャネル」の和製英語読み。日本では、一般にテレビ視聴者らはチャンネルと発音し、ネットワークや無線の学者・技術者らはチャネルという傾向がある。「チャネル」を参照。

◆チューナー
tuner
無線機やテレビ・ラジオの「同調装置」または「同調回路」。

◆チューニング
tuning
送信機や受信機で「同調」をとること。「波長調整」とも。受信では目的の相手の電波の周波数に合わせること。送信では送信周波数に合わせることだけでなく、送信終段の電力効率が最大になるよう調整することもチューニングという。

◆中波
medium frequency
「MF」と略す。中波帯の周波数は300kHz〜3,000kHz。なお、LF(長波)の周波数は30kHz〜300kHz(波長は10km〜1km)、HF(短波)は3MHz〜30MHz、VHF(超短波)は30MHz〜300MHz、UHF(極超短波、300MHz〜3,000MHzである。

◆超水平線レーダー
over-the-horizon radar
「OTH」と略す。HF帯などで経験するキツツキ(ウッドペッカー:woodpecker)が鳴らすような「カタカタ……」という音色の断続的な妨害電波。この種の電波の発生源は諸説あるが、OTHではないかという。OTHは軍事用で、ICBM(大陸間弾道弾ミサイル)などのミサイルを発射直後に探知する目的で使われている。普通のレーダーは波長が短い超短波かマイクロウェーブを使っているため見える範囲しか探知できない。他方、OTHの発射電波は2MHz〜20MHzなので電離層反射によりDXまで探知できる。OTHは東西冷戦を背景に1960年代初めに開発され、ミサイル一斉発射の群像をキャッチできた。1968年に改良型OTHが実戦配備され、単発のミサイル発射でもキャッチできるようになった。近年のOTHは「前方散乱型OTHレーダー」と呼ばれ、ロケットのエンジンから出るジェットガス(イオン化するため電気を帯びる)から生ずる電離層の変化をキャッチしてミサイル発射を探知している。ミサイルの型式によって電離層の変化が異なるため、どの型式のミサイルが発射されたかも識別できる。

OTHアンテナ群

◆長短点メモリー
dot/dash-memory
エレクトロニック・キーヤーに搭載されている機能のひとつ。パドルでの打鍵を助けるためにあり、「長点メモリー」(dash-memory)と「短点メモリー」(dot-memory)の両方で機能する。この機能はエレクトロニック・キーヤーに搭載されている半導体メモリーに長短点の信号を一時的に蓄えて実現している。この機能を搭載したエレクトロニック・キーヤーとデュアル・レバー(2枚のレバー)の電鍵を組み合わせると、スクイーズ(2枚のレバーを同時に内側に押すこと)により短点と長点の交互自動送出が実現する。「エレクトロニック・キーヤー」「iambic」「スクイーズ」を参照。

◆超短波
very high frequency
「VHF」と略す。波長10m〜1m、30MHz〜300MHzの電波帯。「メートル波」と呼ばれるのはVHF帯である。短波と異なり、電離層で反射せず通過してしまうため、VHF通信は見通しの範囲内に限定される。主に地上波テレビ放送やFMラジオ放送の利用に供されている。アマチュア無線に許されているバンドは50MHz帯、144MHz帯である。

◆長点
dash
ダッシュ。「ツートツート」の「ツー」。モールス送信では、長点と短点とスペースの比率が一定でなければならない。

◆長点メモリー
dash-memory
エレクトロニック・キーヤーに搭載されている機能のひとつ。パドルでの打鍵を助けるためにあり、たとえばモールス符号のNを出すとき、長点を打ってからすぐ短点を打ってもスムースに「−・」となる。同様にモールス符号のAを出すとき、短点を打ってからすぐ長点を打ってもスムースに「・−」となる。パドルで正確に高速に打鍵するのに非常に便利な機能である。後者は「短点メモリー」(dot-memory)という。こうした一連の機能はエレクトロニック・キーヤーに搭載されている半導体メモリーに長短点の信号を一時的に蓄えて実現している。短点メモリーと長点メモリーを合わせて「長短点メモリー」(dot/dash-memory)といい、この機能を搭載したエレクトロニック・キーヤーとデュアル・レバー(2枚のレバー)の電鍵を組み合わせると、スクイーズ(2枚のレバーを同時に内側に押すこと)により短点と長点の交互自動送出が実現する。「エレクトロニック・キーヤー」「iambic」「スクイーズ」を参照。

◆長波
low frequency
「LF」と略すことがある。長波帯の周波数は30kHz〜300kHz(波長は10km〜1km)。なおMF(中波)は300kHz〜3,000kHz、HF(短波)は3MHz〜30MHz、VHF(超短波)は30MHz〜300MHz、UHF(極超短波)は300MHz〜3,000MHzである。

◆長符
dash
ダッシュ。長点のこと。短点の長さを1とすると、長点は3、文字と文字の間隔は3、単語と単語の間隔は7が正しい。ただし極端な高速打鍵、または低速打鍵では、必ずしもこの比率が適切とは限らない。この比率を変更できるエレクトロニック・キーヤーもある。

◆直列
series
電池のプラス(陽極)とマイナス(陰極)を交互につないだり、複数の電源や素子の異なる端子を一列に接続したりするやり方。「シリーズ」とも。対語は「並列」。

◆直列共振回路
series resonance circuit
コイル(インダクタ/インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタ/キャパシタンス)を直列につないだ回路。共振したときに電流が最大になる。「共振回路」を参照。

◆直下型プリアンプ
mast mounted preamplifier / antenna mounted preamplifier
シャックではなく、アンテナの真下かアンテナ給電部の付近に設置する受信増幅器を、直下型プリアンプまたは直下型ブースタ(booster)という。微弱な信号がケーブル損失でさらに弱くなる前に増幅する必要があるためアンテナ直下に設置する。

◆珍局
rare radio station
珍しいエンティティの局のこと。DXペディション以外は運用が無いエンティティの局、アマチュア無線人口が極端に少ないエンティティの局のことをいう。日本国内であってもJCC/JCGのアワード獲得にとって珍重される局も珍局と呼ばれる。



◆ツイン・バンダー
twin bander
たとえば144MHzと430MHzの両方に対応したアンテナやトランシーバをツイン・バンダーという。「デュアル・バンダー」ともいう。

◆通信衛星
communication satellite
通信に用いる人工衛星。CSと略す。アマチュア無線のための通信衛星はアマチュア衛星と呼ばれる。初のアマチュア衛星「オスカー」(OSCAR-1)は、1961年12月12日(米国時間)、米国西海岸のグループ
「プロジェクト・オスカー」(Project OSCAR)によって打ち上げられた。これを契機に、1969年、米国の首都ワシントンDCで教育団体として発足したのがAMSAT(アマチュア衛星協会)の始まりである。アマチュア衛星「オスカー」(OSCAR)のひとつにAO-10(AMSAT-OSCAR 10)がある。AO-10は1983年6月16日(現地時間)、仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 1-06(ARIANE 1-06)で打ち上げられた。アマチュア衛星としては初めての楕円軌道衛星であり、高度は3,997km〜35,449km。送信は435MHz帯、受信は145MHz帯である。日本の関連団体は「日本アマチュア衛星通信協会」(JAMSAT)である。一般の通信衛星は、日本ではCS1がサクラ1号の名で1977年、米国本土から打ち上げられた。以降の通信衛星は、災害対策などの実用通信を経てインターネット、マスコミ、データ通信、移動通信、テレビ会議などへの実験を経て実用化されている。通信衛星は、赤道上空の高度約36,000キロで地球と同じ速度で回転する静止衛星が多い。理論上は静止衛星3個で地球を全てカバーする。

◆通信型受信機
Communications Receiver / intelligent receiver
通信を目的とした受信機。感度、安定度、忠実度が良く、CWやSSBを明瞭に聞き取れるようなデバイスを搭載した受信機。送受信機が同一筐体内にあるトランシーバではなく、送信機とペアで使うことを前提とした受信機は通信型受信機を選択することになる。受信機と送信機が別々のリグを「セパレート・タイプ」という。

◆通話表
phonetic code
「フォネティック・コード」。受信者側の聞き間違いを防ぐため、フォーンで「A」を「アルファ」、「あ」を「朝日のあ」などと明記するためのルールを定めたリスト。

◆ツェップ・アンテナ
zepp antenna
2分の1波長の水平エレメントの片端または中央からハシゴ・フィーダで給電するのが特徴。整数倍の周波数で共振するため、3.5MHz帯(波長は80m)の2分の1波長(40m)とすれば、7MHz帯、14MHz帯、21MHz帯、28MHz帯で利用できる。ドイツのツェッペリン(Zeppelin)飛行船で用いられたことに由来する。

HF帯用の中央給電型(Center-fed)ツェップ・アンテナ

◆ツェナ・ダイオード
Zener Diode
「ZD」と略す。「定電圧ダイオード」のこと。



◆ディーエックス
DX / Distance
長距離通信または遠距離通信のこと。「DX」「DXCC」などを参照。

◆低域通過濾波器
Low Pass Filter
「LPF」と略すことがある。「ローパス・フィルタ」のこと。電気信号の周波数成分の中から任意の低い周波数だけを通過させるフィルタ回路。それよりも高い周波数の信号はほとんど通さない。

◆低軌道衛星
Low Earth-Orbiting satellite
上空の比較的低い高度を周回する人工衛星。衛星通信に用いた場合、伝送の遅延が少ないのが長所である。「LEO」と略すことがある。

◆抵抗
resistance / resistor
「電気抵抗」(レジスタンス)、または「抵抗器」(レジスタ)のこと。電流を妨げる目的で用いられる。単位は「オーム」(Ω)、記号はR。

◆定在波
standing wave
本来なら進行波であるはずが、反射波と干渉し合い、そこに定在している状態の電波(または音波)。

◆定在波比
Standing Wave Ratio / SWR
伝送路における高周波電波の進行波と反射波の(多くの場合、電圧の)比率を示す数値。一般にケーブルとアンテナのインピーダンス・マッチングについて用いられ、SWRが1.5以下になるようアンテナ周りを調整するが、1に近いほどマッチングが良好である。SWR値は、SWR計を送信機とアンテナのフィーダーの間に入れて測定する。SWR計を内蔵しているトランシーバも多い。「SWR」と略す。

定在波比を測定するSWRメーター

◆低周波
audio frequency / low frequency
場面によって「AF」または「LF」と略す。一般に可聴周波数(20Hz〜20,000Hz)の交流や電波を低周波という。電波法規によっては30kHz〜300kHzの電波を低周波と定義している。対語は「高周波」。

◆ディスクリミネータ
discriminator
周波数や位相を弁別する装置。「周波数弁別器」のこと。FM変調(周波数変調)で復調(周波数の変化を振幅の変化に変換)する目的で用いられている。俗称「ディスクリ」。

◆ディスコーン・アンテナ
discone antenna
円錐形のスカートをはいた形状(フィルタ式サーバのコーヒー・ドリッパーを逆にした形)のアンテナ。天辺にはディスクと呼ばれる薄い円盤が乗る。広い周波数帯に対応することから、VHF/UHF帯で広帯域アンテナとして用いられている。ディスコーンは円盤(disc)と円錐形(cone)の合成語。

◆ディスプレイ
display
表示装置。コンピュータや無線機や測定器の出力装置の一種。モニタということもある。CRT(cathode ray tube)はブラウン管を用いた表示装置。LCD(liquid crystal display)は液晶表示装置。そのほかプラズマ表示装置、EL表示装置、LED(light emitting diode)表示装置などがある。ディスプレイが表現する情報量と美しさは解像度で決まるが、解像度はドット数を目安にすることが多い。LCDを見やすくするためバックライト付き液晶ディスプレイが開発されている。

◆低速走査テレビジョン
Slow Scan Television
「スロースキャン・テレビジョン」(SSTV)のこと。静止画像を1枚当たり10秒前後(時には数十秒)かけて送受信する。かつてはスキャン・コンバータを使っていたが、パソコンが普及してからはパソコンを使用するアマチュア無線局が増えた。使用する周波数帯域幅は音声と同じかそれ以下である。アナログSSTVとデジタルSSTVとがある。短波帯でSSBモードによりSSTVを楽しんでいる人もいる。SSTV以外に、1秒間に30コマの動画をやりとりする「高速走査テレビジョン」(FSTV:Fast Scan Television)もおこなわれている。コールサインなどの文字を掲示するときは、スーパー・インポーズ装置の一種であるキャラクター・ジェネレータを用いることがある。
ドイツの DD1US 局(Mr. Matthias Bopp)がSSTVとATVの愛好者として名高い。「ATV」「スキャン・コンバータ」を参照のこと。

DD1US局のシャック。このサイトに入ったら、画面左の[Amateur Radio]をクリックすると Mr. Matthias Bopp のシャックが現れる

◆ディッシュ
dish
大きめの「皿」のこと。お皿の形をしたパラボラアンテナの反射器の俗称。

◆ディップメータ
dip meter
主にコイルやアンテナの共振周波数を測定する測定器。ディップメータの筐体内の装置と外部にあって交換可能な小型コイルと筐体表面の針式メーターとダイヤルからなり、筐体を手に持ってディップメータの小型コイルを測定対象に近づけてダイヤルを回すと、あるところでメーターの針がぴくんと下がる(ディップする)。そのとき測定対象とディップメータの共振点が一致したことになるので、この段階で周波数の目盛りを読めば共振周波数がわかる。「テスト・オシレータ」の一種。

◆定電圧ダイオード
reference diode / Zener diode
電圧を一定に保つ特性があるダイオード。定電圧装置に用いられている。「ツェナー・ダイオード」に同じ。

◆デイトン・ハムベンション
Dayton Hamvention
毎年5月に開催されるハムフェアの「デイトン・ハムベンション」。1952年からデイトン・アマチュア無線協会(DARA:Dayton Amateur Radio Association)が米国各州をはじめ世界中からアマチュア無線家を迎えて毎年開催するハムフェア。近年は参加者が数万人規模の人気フェアであり、無線機やパーツや電鍵などの売買でにぎわう。

◆逓倍
multiple integrals / integral multiply
「ていばい」と読む。周波数を整数倍に変換すること。周波数を2倍にすることを「2逓倍」、「3倍にすることを3逓倍」などと表現する。その機能を持つ回路を「周波数逓倍回路」(frequency multiply circuit)という。

◆手崩れ
glass arm / writers cramp
グラスアームとも言う。主に筋肉の痙攣により、腕や手を動かす打鍵のバランスが崩れてモールス信号を送れなくなる状態。手崩れを防ぐため、130年以上の歳月をかけて日米欧などの電鍵デザイナーたちが研究と改良を進めてきた。また通信技士の訓練法も改良が重ねられた。

◆デコーダ
decoder
「復号器」のこと。アナログ音声波の振幅の変化をサンプリング(数値化)してアナログ波を1か0のデジタル信号に変換して送信すると、受信側ではデコーダーが1か0のデジタル信号をアナログ音声波に変換する。コンピュータでは暗号解読装置または暗号解読ソフト、データ変換装置またはデータ変換ソフトもデコーダという。

◆デジタル
digital
「1か0か」のように離散的な飛び飛びの値をとること。コンピュータとそのネットワークでは、電流の「有無」やパルスの「有無」をもとに情報処理や電気通信をおこなっている。対語は「アナログ」。

◆デジタル通信
digital communication
アナログ信号ではなく、デジタル信号でおこなわれる通信。デジタル通信を実現したのはパルス符号変調方式(PCM:Pulse Code Modulation)という技術である。PCM方式は電話の音声などのアナログ信号をデジタルのパルス符号に変える変調方式で、1960年代に実用化され、当初は固定電話で用いられていた。

◆デジタル・ボルト・メーター
Digital Volt Meter / DVM
旧来型のテスターが針で電圧などを表示するのと異なり、液晶ディスプレイなどに電圧や電流や抵抗値を数値で表示する測定器。「DVM」と略す。

◆デジピータ
digital repeater
「デジタル・リピータ」の俗称。

◆デシベル
decibel
通信で電力の利得や減衰を表す単位として用いられている。出力と入力の比の常用対数に10を乗じたもの。電圧、電流、音圧、振動の大きさなどを表す単位としても用いられている。十分の一を意味する「デシ」と、単位の「ベル」(電話の発明者ベルにちなむ)の複合語。デシベルの略号は dB またはdb である。

デシベル・ベーター

◆テスター
tester / circuit tester
電気の「回路計」「回路試験器」。動針によるアナログ表示か、数値によるデジタル表示かで、電圧・電流・抵抗の値を測る。

◆テスト・オシレータ
test oscillator
無線機器やオーディオ装置の周波数チェックや周波数測定、調整・試験・実験に用いる簡易型発信器の総称。ディップメータもテスト・オシレータの一種。

◆テスト電波
test radio transmission / test signal transmission
「試験電波」のこと。「試験電波」を参照。

◆テスト・パターン
test pattern
映像の送受信機の映り具合やビデオカメラの特性をチェックするための試験用のパターン図形。直線や円、色彩とその濃淡が描かれている。これを元にして上下左右の歪みや色彩などをチェック、調整する。テレビ受像器の画面やコンピュータのモニターに表示されるテスト・パターンは縦縞模様のカラーバーが採用されている。

◆テスト・ポイント
test point
回路の要所に取り付けられた調整用の端子。回路図を設計している段階でテスト・ポイントを割り当てることもある。

◆デバイス
device
無線機、様々なアナログ回路/デジタル回路、コンピュータ通信機器やルータなどの装置・機器類、コンピュータなどのこと。物理的な回路や装置や機器だけでなく、ソフトウエアによる論理装置をデバイスと呼ぶこともある。

◆デビエーション
deviation / frequency deviation
「自差」「偏差」「偏移」。電波工学でいうデビエーションは「周波数偏移」。搬送波(キャリア)に対してFM変調(周波数変調)をおこなうため、信号に応じて周波数を変化させること。コンピュータネットワークや携帯電話でデジタル信号をアナログ信号に変換する変調方式を「周波数偏移変調」(FSK)という。

◆デュアル・パドル
dual paddle
レバーが2枚あるパドル。「複式パドル」ともいう。この型のパドルとiambic方式対応のエレクトロニック・キーヤーを組み合わせて用いると、短点と長点を交互に自動的に送信し続けることができる。

米国ベンチャー社の日本市場版ベンチャー「JA-2」

◆デュプレクサ
duplexer
「分波器」の一種。「アンテナ共用器」とも。二つの周波数の信号入力を合成して一つの出力にするデバイス。たとえば144/430MHz対応のデュアルバンド・トランシーバと、144/430MHz対応のデュアルバンド・アンテナをつなぐためなどの目的で用いられている。「ダイプレクサ」と同じ。

◆デュプレックス
duplex
「双方向通信方式」という意味。原意は「二重の」。「デュプレックス運用」とは2波同時運用という意味合い。対語は「シンプレックス」(単方向通信方式)。

◆デリンジャー現象
Dellinger phenomenon
磁気嵐で短波帯の電波通信が地球規模で困難になる現象。太陽面で突発的に発生する爆発により太陽から荷電粒子が大量に飛び出し、地球の上空に達して電離層を乱すためであるとされている。この状態は数分から数時間ほど続く。この状態になることを「フェードアウト」(fade out)ともいう。この名は米国の物理学者で無線エンジニアのジョン・ハワード・デリンジャー(John Howard Dellinger、1886〜1962年)が発見、研究したことに由来する。「磁気嵐」を参照。

ジョン・ハワード・デリンジャー

 ©IEEE

◆デルタ・ループアンテナ
delta loop antenna
キュービカル・クワッド・アンテナ(CQ)の四角形のループ・エレメントを逆三角形に置き換えたアンテナ。三角形を意味するデルタ(記号はΔ)に由来するが、実際の形状は逆三角形。1エレの場合、逆三角形の三辺の合計は1波長とする。2エレの場合、エレメント間のスペースは0.15波長前後にする。アルミパイプでも太めのワイヤーでも製作できることから短波帯や50MHz帯、VHF帯などの自作アンテナとして人気がある。

◆テレグラフ
telegraph
電信または電報または電信機。電鍵は telegraph key または Morse key という。

◆テレグラファー
telegrapher / telegraph operator
テレグラフ・オペレータ/電信技士/電信通信士。

◆テレビ・アイ
television interference
「TVI」と略す。アマチュア無線などの電波が、近所でテレビ放送を受信している受像機に混信したり干渉したりして、放送を受信できなくしたり、テレビ画面や音声に混信やノイズなどの妨害を与えること。ラジオ放送に対する妨害は特にBCI(broadcast interference)という。

◆テレメトリ
telemetry
「遠隔測定法」。地上の管理者が衛星の内部情報(電源の状態や温度など)を把握する目的で衛星から地上へ送信されるデータ。

◆電圧利得
voltage gain
電気回路やアンテナにおける電圧の入力と出力の比。電圧のゲインか電流のゲインかによって「電圧利得」「電流利得」と呼ぶ。単に「利得」または「ゲイン」と言うと電力の利得を意味することが多い。一般的にdB(デシベル)を単位として用いる。

◆電荷
electrical charge
電気(electricity)が起こす現象(電気現象:Electrical phenomena)の実体。正と負の2種類の電荷がある。自然界に存在するが、人工的に発電することもできる。電気現象は全て電荷から起こる。「荷電」とも。

◆電解
electrolysis / electrolyze
「電気分解」の略称。電解質水溶液(電解液)などに1対の金属棒や黒鉛棒などの電極を入れ、直流を流して化学変化を起こさせること。電気メッキ、冶金(やきん)、電解コンデンサの製造などに用いられている。

◆電界
electric field
電荷がもたらす電気力の作用する空間。理学系では「電場」ということが多い。

◆電界強度
field strength / electric field strength
特定の点における電界の強さを量的に表したもの。電界強度計(電界強度測定器)で測ることができる。

米国製の電界強度計(field strength meter)

◆電解コンデンサ
electrolytic chemical capacitor / chemical capacitor / electrolytic condenser
日本では「ケミカル・コンデンサ」とも。英語圏の人に「コンデンサ」と言うと「熱交換器」と誤解されやすいので、「エレクトロリティック・キャパシター」か「ケミカル・キャパシター」と表現すること。電解コンデンサ/ケミカル・コンデンサは、アルミニウムなどの金属を陽極に、電気分解で生成した酸化被膜を誘電体に、電解質を陰極としたコンデンサ。液体状の電解液を用いる湿式(wet electrolytic capacitor)と、固体状の電解質を使うタイプとがある。小型で非常に大きな容量(0.1μF〜10万μF)が実現することが最大の長所である。「μF」は「マイクロファラッド」と読み、100万分の1ファラッドに相当する。

◆電監
"Denkan"
電波監理局の略称。現在の総務省総合通信局地方支分部局の前身。戦後の1949年6月1日の省庁改革で逓信省が2分割されたのに伴い発足した電気通信省のもとで電波庁が新設されたが、その地方支分部局として(1)「地方電波管理局」が全国の10か所に設置された。1年後の1950年6月1日、電波庁は廃止され、その業務を総理府の電波監理委員会に移したうえ、(2)「地方電波監理局」を設置した。このころから「電監」と呼ばれるようになった。しかしその後も地方の電波監理業務組織の改組・改変は続き、1952年8月1日、郵政省に統合された。さらに民営化NTTの発足などを盛り込んだ電気通信事業法が1985年4月1日に施行されるなどにより地方電波監理局は(3)「地方電気通信監理局」となった。2001年1月6日、省庁改革により、郵政省などが総務省に統合されたことにより、地方電気通信監理局は総務省のもとで(4-1)「総合通信局」となり、同時に沖縄郵政管理事務所も総務省のもとで(4-2)「沖縄総合通信事務所」となって現在に至る。現在もアマチュア無線の10コールエリア(1〜φ)と対応(沖縄は例外)しており、1エリアが関東総合通信局などとなっている。また沖縄のJR6とJS6は沖縄総合通信事務所が管轄している。

◆電気分解
electrolysis
「電解」を参照。

◆電鍵
key
キーとも言う。電鍵は、その形や機能により、パドル、バグ・キー、スクイーズ・キー、マニピュレータ、縦振れ電鍵、横振れ電鍵など、さまざまな種類と名称がある。どのような電鍵にせよ、キータッチの好みは百人百様だから、接点の間隔と、電鍵を押した時の跳ね返りの力の強弱を調整するメカニズムが付いているのが普通である。本書の「電鍵コレクション☆日米欧」を参照。

◆電源
power supply / power source
電気エネルギーを必要とする素子、回路、機器、家電、プラントなどへ電力を供給するシステムや装置類や発電機。直流(DC)と交流(AC)があり、直流電源に電池や蓄電池があり、交流電源に家庭の電源や交流発電機などがある。

◆電子掲示板システム
Bulletin Board System
「BBS」と略す。不特定多数または登録会員が自由に書き込みできるインターネットなどのネットワーク上のサイト。インターネット以前のパソコン通信の時代は「電子掲示板」とか「BBS」と呼んでいたが、近年はブログと呼んでいる。駅前の伝言板が大規模に利用されているような趣きである。パケット無線を利用したものを「RBBS」という。「RBBS」を参照。

◆電磁波
radio wave
電界と磁界が時間的に変化しながら空間や物質内部を伝わっていく振動波。電磁波は粒子の性質と波動の性質を併せ持つが、波として見たときに電磁波と呼ぶ。波長によって、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、ミリ波、センチ波またはマイクロ波(SHF)、デシメートル波(UHF)、超短波(VHF)などに区分される。電波は10kHzから300GHzの周波数帯の電磁波。可視光は波長が400nm〜800nmの間にある電磁波(nmはナノメートル)。

◆電信
telegraph
情報を電信符号(主にモールス符号)に変換するか打鍵して伝える通信方式。かつては有線でおこなわれていたが、イタリアの電気エンジニアのマルコーニ(1874〜1937年)が1899年にイギリス海峡横断の無線通信に成功し、1901年には大西洋横断の無線通信に成功するなどで、しだいに無線でおこなわれるようになった。近年は船舶通信でも無線電信がおこなわれなくなったことで象徴されるように、現在では業務用のモールス通信はほとんどおこなわれておらず、アマチュア無線家たちが趣味でモールス通信をしている。電信だと小電力でもDX通信が可能なため人気がある。

◆電信級
Technicians with HF Class License
1990年以前の「電信級アマチュア無線技士」の略称。1960年代当時は10W以下の出力で電信だけの通信が許可されていた。現在の第三級アマチュア無線技士(空中線電力50W以下の無線設備)に相当する。米国では電信の試験が必要な「Technicians with HF Class License」に相当する。

◆電断
switch off / turn off / shut down / shut off / interruption of power
電源のスイッチを OFF にすること。俗語。「電断が発生する」「電断処理」などと使う。

◆でんでんタウン
"Denden Town"
「デンデンタウン」とも。大阪日本橋電気街の愛称。

◆電場
electric field
工学系では「電界」ということが多い。「電界」を参照。

◆電波
radio wave
10kHzから300GHz周波数帯の電磁波を総称する言葉が電波である。無線通信で用いられている伝送メディアの大半は電波である。


 ©NASA

◆電波型式
mode
CW(A1)、AM(A3)、FM(F3)、SSB(A3J)などのモード。総務省に無線局免許を申請するときの必須項目である。日本では平成16年1月13日に電波型式は新しいものに変更となった。総務省へ提出するアマチュア無線局の免許申請書の記載に注意が必要である。新旧電波型式一覧表を参照のこと。

◆電波法
Rules and Regulations
116条からなる電波に関する日本の法律。「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする」を趣旨とする。無線局免許や無線従事者などを定めている。違反に対して第105条〜第116条で罰則(懲役を含む)を定めている。FCC(米連邦通信委員会)では「規則と法規」(Rules and Regulations)と呼んでいる。

◆てんぷら
badly connected soldering
ハンダ付けが不十分におこなわれて接触不良を起こす状態の俗語。ハンダは摂氏180〜190度で溶ける可溶性合金だが、ハンダゴテの温度が充分でなかったり、ハンダゴテを当てる時間が少なすぎたり、ハンダ付け部分のリード線などの表面が汚れていたりしたときに「てんぷら」となる。語源は“ころも”と中味が離れている天ぷらの状態に由来する。てんぷらが起きないように電線状のハンダの芯に溶剤の“ヤニ”を入れた「活性ヤニ入りハンダ」(Flux core solder)が市販されている。

◆電離層
ionosphere
太陽面から飛んできた紫外線やX線が、地球上空の薄い大気の分子を電離した結果、生じた層。「電離圏」ということもある。1924年から1925年にかけて、英国の物理学者エドワード・アップルトン(1892〜1965年)が実験により地球の大気の上層に電離層が存在することを証明した。高度約60kmにあるものをD層、約100kmにあるものをE層、約200〜400kmにあるものをF層(アップルトン層)という。電離層には電子とイオンが多く、電波を反射する。電波が電離層で反射するときは周波数が高いほど減衰が大きく、電波が電離層を突き抜けるときは周波数が高いほど減衰が少ない。電離圏から流出した比較的温度の低いプラズマで満たされている圏域は「プラズマ圏」と呼ばれている。「太陽風」「プラズマ圏」を参照。


 ©THE

◆電流利得
electric current gain / current gain
電流のゲイン。電圧利得を参照。

◆電力利得
electric power gain / power gain
電力のゲイン。電圧利得を参照。

◆電話
telephone / phone
(電信ではなく)声で交信すること。電波型式(モード)はAM、FM、SSBがある。対語は電信(CW/A1)。

◆電話級
Technician Class License
1990年以前の「電話級アマチュア無線技士」の略称。当時は10W以下の出力で電信を除く通信が許可されていた。現在の第四級アマチュア無線技士(空中線電力10W以下の無線設備/CWを除く)に相当する。米国では電信の試験が不要の「Technician Class License」に相当する。



◆トーン・エンコーダ
tone encoder
特定の周波数のトーン(音色/音階)を発生するデバイス。プッシュボタン式の電話器では、通話したい相手の電話番号を電話交換機に伝える信号として、2つ1組のトーン、すなわち2つ1組の周波数の和音で表している。430MHz帯のリピータへのアクセスは、トーン・エンコーダで生成したトーンでおこなっている。

◆トーン・スケルチ
Tone Coded Squelch / CTCSS
特定の周波数のトーン(音色/音階)を送受することによりスケルチが開いて交信が可能になるシステム。VHF帯などのハンディ機やモービル機でグループ通信をするときに、雑音なく静かに受信待機できるメリットがある。VHF帯などのリピータでも用いられている。CTCSS(Continuous Tone-Coded Squelch System)ともいう。PLトーン(Private Line tone)ともいうが、これは米国モトローラ社のトレードマークである。

◆トーン・デコーダ
tone decoder
トーン(音色/音階)を読みとって解読するデバイス。特定の周波数のトーン(音色/音階)を受け取ったときに回線を開いたり、モールス符号のトンツー音を読みとるモールス解読器などに用いられている。

◆同期衛星
geosynchronous satellite
高高度の同期軌道で地球の周りを周回する人工衛星。地上から見ると、上空の一点にあたかも止まっているかのように見えることから「静止衛星」とも呼ばれる。


同期衛星の第1号機 Syncom (高度35,900km)。機能停止のため1963年に Syncom II が打ち上げられ、これが初の同期衛星となった。 ©NASA

◆同軸切替器
coaxial cable switch / coaxial switch
複数のアンテナまたは複数の通信機を切り替えるスイッチ。手動でツマミを回して切り替えるタイプと、同軸リレー(高周波リレー)を使ってリモートで切り替えるタイプとがある。「同軸スイッチ」「アンテナ切替器」とも。

◆同軸ケーブル
coaxial cable
コア(芯)の銅線を絶縁体で覆い、その周りを金属の網でシールド(電波的な絶縁)し、さらにその外側を絶縁体で包んだケーブル。外部からの干渉や妨害を受けにくく、物理的な強度も優れている。HFからVHF/UHFまで、アンテナと無線機をつなぐ給電線(フィーダ)として広く用いられている。無線機では50Ωのインピーダンスのもの、テレビ受像機では75Ωのものが一般的。50Ωの同軸ケーブルは3D-2V、5D-2V、8D-2V、5D-FB、8D-FB、10D-FBなど。75Ωの同軸ケーブルは3C-2V、5C-2V、3C-FB、5C-FBなど(-FBは低損失タイプ)。

◆同軸コネクタ
M-type coaxial connector
同軸ケーブルを無線機器にとりつけるための接続器具。アマチュア無線局で広く用いられているのはネジ結合型のM型同軸コネクタ(M-type coaxial connector)である。200MHzくらいまで使える。N型同軸コネクタ(N-type coaxial connector)は10GHzくらいまで使える製品もある。

N型同軸コネクタ

◆同軸分配器
coaxial cable splitter
複数のアンテナまたは複数の通信機に同軸ケーブルを分配したりアンテナをスタックしたりするための装置。「同軸分波器」とも。デュプレクサを参照。

◆同軸リレー
coaxial relay / coaxial cable relay
高周波リレーの一種で、同軸スイッチの一種でもある。同軸ケーブルの伝送元/伝送先を切り替えるための中継装置。HF帯から数十GHz帯まで利用可能。機械接点式のものが広く用いられている。

◆導体
conductor
「コンダクタ」ともいう。電気が流れやすい物質。金属や合金が代表的な導体である。電気の伝導性により、良導体、半導体、超伝導体などと表現する。対語は「絶縁体」。

◆同調
tuning
送信機や受信機でチューニングすること。「波長調整」とも。受信では目的の相手の電波の周波数に合わせること。送信では送信周波数に合わせることだけでなく、送信終段の電力効率が最大になるよう調整することもチューニングという。

◆導波器
director
八木アンテナのようなビームアンテナのエレメント(素子)は、電波の発射方向から順に、導波器(director)、輻射器(driven element)、反射器(reflector)の順番で並べられる。導波器は輻射器より短い。反射器は輻射器より長い。反射器が1エレメントでも、導波器は1エレメントか複数エレメントを用いることが多い。

◆ドッグ・パイル
monstrous pile-up
骨に群がる犬の群に例えた言葉。珍局の出現に対してハムが一斉にコールする「パイルアップ」の激しいもの。英語圏の人に「ドッグ・パイル」というと、
メタ検索エンジンの「dogpile.com」のほうを連想するだろう。

◆トップバンド
Topband / 160 meter
アマチュア・バンドの中で最も波長が長い(160 meter)1.8/1.9MHz帯のこと。

◆ドップラー効果
Doppler effect
音波や電波の発信源が近づくと周波数が高くなり、遠ざかると低くなる現象をドップラー効果という。プラットホームで電車が通過したときなどで体験できる。オーストリアの物理学者クリスチャン・ドップラー(1803〜185年)が1842年に音と光について「ドップラー効果」を提唱し、二重星などの天体の色彩が変化する現象を解明した。「ドップラー・シフト」(Doppler shift)はドップラー効果により音の高さや電波の周波数がずれること。通信衛星、特に低軌道の通信衛星も同様に受信者に近づいてくると周波数が高くなり、遠ざかると低くなる。このドップラー・シフトを補正するため受信機の受信周波数を変える必要がある。これを「ドップラー補正」(doppler effect correction)という。144MHz帯では最大でおよそ3.5kHz程度である。手動か、またはコンピュータを使って方位と仰角も併せて補正する。

クリスチャン・ドップラー

◆ドップラー・シフト
Doppler shift
音波や電波の発信源が近づくと周波数が高くなり、遠ざかると低くなる「ドップラー効果」により、音の高さや電波の周波数がずれること。通信衛星、特に低軌道の通信衛星も同様に受信者に近づいてくると周波数が高くなり、遠ざかると低くなる。この周波数変移をドップラー・シフトという。

◆ドップラー補正
Doppler effect correction
通信衛星、特に低軌道の通信衛星が受信者に近づいてくると周波数が高くなり、遠ざかると低くなる。このドップラー・シフトを補正するため受信機の受信周波数を変える必要がある。これを「ドップラー補正」という。144MHz帯では最大でおよそ3.5kHz程度である。手動か、またはコンピュータを使って方位と仰角も併せて補正する。

◆トップロード・アンテナ
top-load antenna
垂直のバーチカル・アンテナの天辺に傘のような円環状のトップロード(頂冠)を取り付けたアンテナ。トップロードには電波の発射角度(仰角)を低く抑えて遠距離まで電波を飛ばす効果がある。海外との遠距離通信用アンテナやラジオ放送のアンテナなどに用いられている。和製英語。

◆ドライバ
driver / screwdriver
「操縦するもの」「制御するもの」「駆動するもの」という意味。増幅器の励振回路、コンピュータの駆動回路など。工具のねじ回しは英語圏ではスクリュー・ドライバ(screwdriver)という。

◆トライバンダー
tri-bander
トライ(tri-)は3倍を意味する連結語。たとえば50/144/430MHzの3バンドに対応しているアンテナや無線機をトライバンダーと呼ぶ。

◆トラップ
trap
不要な周波数成分を除去するためのデバイス。スプリアスを出して近所に迷惑をかけるのを防ぐため、コイルとコンデンサを組み合わせたLCトラップ回路を送信機とアンテナの間に入れたりする。

◆トラフィック
traffic
無線交信のやりとり。送信。ネットワーク回線上を流れるパケットなどのデータの流れ。または通信量。回線上のトラフィックの渋滞を輻輳(congestion)という。

◆トランシーバ
transceiver
1台で送信機能と受信機能を併せ持つ携帯用または移動用または固定用の通信機。携帯用のものをハンディ機と言うことも多い。家庭用電源を用いる大型高級HFトランシーバでも、持ち運ぶのに便利なように革ベルトが付いているタイプが多い。ペディションでは大型高級HFトランシーバと交流発電機を組み合わせて運用することも多々ある。「transmitter」(送信機)と「receiver」(受信機)の合成語。

◆トランシーブ
transceive
「transmit」(送信)と「receive」(受信)の合成語。transceiveという単語はアマチュア無線独特の言葉であり、送受信するという意味で使ったり、一つのVFOを送信機と受信機で共用してトランシーバとして用いることをいう。

◆トランジスタ
transistor
増幅する機能がある半導体素子の総称。20世紀最大の発明のひとつ。1960年代に量産されてアマチュア無線家や科学マニアがお小遣いで買えるようになったときには小指の先くらいのサイズだった。それから半世紀たった現在、1個1個のトランジスタは、IC(電子集積回路)と呼ばれるチップの中で一つのトランジスターは原子レベルのサイズにまで微小化されつつあるため、今日のトランジスタ単体は肉眼では見ることができない。複数台の車や家電製品を持っている家庭で使っているトランジスタの数は1,000万個を超える。
トランジスタが発明される前は、ホットで大きな真空管に増幅作用を求めていた。真空管を素子とし続けたのでは、いつまでも機器類の小型化は望めない。そんなおり、ウィリアム・ショックレー(1910〜1989年)と、その部下のジョン・バーディーン(1908〜1991年)とウォルター・H・ブラッテン(1902〜1987年)は、米国ニューヨーク市近郊のベル研究所(直前までベル電話研究所)の実験室で、くる日もくる日も種々の固体に測定器を接続して弱い電流信号を与え続けていた。入力した信号よりも大きな信号が測定されれば増幅作用があることになる。1947年12月、待望の増幅現象がゲルマニウムの結晶に現れた。これが点接触トランジスタの発見である。1955年、45歳のショックレーはベル研究所を辞めてカリフォルニア州のシリコンバレーへ移住した。ゲルマニウムではなく、シリコン(珪素)を素材にトランジスタを製品化するのが目的だった。ショックレーはショックレー半導体研究所とトランジスタ会社を設立、全米から学者と技術者を集めて実験を始めた。1957年、開発チームの中心だったノイス、ムーア、クライナーら8人が一斉にショックレーの会社を辞めてフェアチャイルド・セミコンダクタ社を設立、間もなくトランジスタの商品化に成功した。

◆トランス
transformer
「変圧器」のこと。コイルとコイルの間の相互誘導現象を用いて交流電圧を変化させたり、交流電流を変化させたりするデバイス。複数のコイルの巻き数比を様々に変えることにより電圧や電流を変化させる。空心のものと鉄心などの芯を用いるものとがある。トランスはインピーダンスの変換に用いられることがある。

◆トランスバータ
transverter
その無線機が対応していない周波数帯で運用するために用いる周波数変換のための装置。アップバータはHF仕様の無線機で50MHz帯に出たりする装置。ダウンバータは、たとえば50MHz帯仕様のリグで27MHzを運用したりするために用いる装置。「アップバータ」「ダウンバータ」を参照。

◆トランスポンダー
transponder
通信衛星には中継装置が搭載されており、地上からの電波を変換して再び地上へ送り返す。こうした送受信機能を備えた中継装置がトランスポンダである。transmitter(送信機)とresponder(応答機)を合成した言葉。通信の分野では「中継器」と訳されている。


 ©AMSAT-DL

◆トランスミッタ
transmitter
送信機を意味する英語圏の略語。「xmitter」「X-Mitter」とも表記する。

◆トリプラー
tripler
電圧や周波数を3倍にするデバイス。入力周波数の3倍の周波数信号を生成する回路はトリプラー(周波数3逓倍回路)である。

◆トリプルコール
triple callsign
「J*1XXX」のようにコールサインのサフィックスが同一文字のこと。英語圏で triple callsign といっても通じにくいので「triple X」などと表現する。

◆トリマー
trimmer
容量を微調整できるようになっている半固定コンデンサ。機器の筐体を開き、小型のドライバーなどでトリマーのノッチを回して調整する。

◆トロイダル・コア
troidal core
主にコイルの芯として用いるパーツ。真ん中が空洞のドーナツ型の強磁性体を素材としている。トロイダル・コアに銅線を巻いたコイルを「トロイダル・コイル」または「リング・コイル」という。

◆トンツー
dah-di-dah-dit
モールス符号の口語的な表現。英語では「dah-di-dah-dit」(ダーディダーディッ)と表現する。


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