こ
◆コールエリア
callsign area
「コールサイン・エリア」のつづめ読み。アマチュア無線のコールサインの場合、プリフィックスと数字(1〜φ)でエリア(地域)を特定できる。
◆コールサイン
callsign
無線通信における無線局の「呼び出し符号」。アマチュア無線の場合も、ユニーク(世界唯一)なコールサインが各局に与えられている。これはITU(国際電気通信連合)が世界のコールサインを割り当てているためである。コールサインは一般に(1)プリフィックス(prefix:接頭辞)と(2)数字と(3)サフィックス(suffix:接尾辞)が組み合わされる。コールサインでたとえば[JAφBCH]の「JA」はプリフィックス、数字の「φ」(ゼロ)はエリアコード、そして「BCH」がサフィックスである。(1)プリフィックスは1〜2文字の英数字、(3)サフィックスはQAA-QZZ以外の英字である。QAA-QZZを使えない理由はQ符号と混同されるからである。世界中でほとんどのコールサインのプリフィックスは慣習的に2文字以内だが、3文字を使っても有効である(たとえばアメリカならWAでもWAAでもかまわない)。以上のコールサインのルールに従わない例外が稀にある。
世界のコールサインの割り当て状況
◆コール・チャンネル
call channel
「呼び出し周波数」。144/430MHzのFMモード電話交信ではチャンネルの有効活用を図るため、コール・チャンネルを取り決めている。144MHzでは145.00MHz、430MHzでは433.00MHzである。マナーとして、コール・チャンネルでCQなどの呼び出しをして、相手が見つかればサブ・チャンネルで交信をする。日本ではメイン・チャンネル(俗にメンチャン)とも。
◆コア
core
同軸ケーブルや光ファイバーなどのケーブルの「芯」。
◆コイル
coil
古くは電気用語で「線輪」「捲線」と呼ばれた電線の輪。高周波用のコイルは合成樹脂の筒などに巻かれるか空芯、低周波用のコイルは鉄芯に巻かれるのが一般的である。輪は螺旋状に巻かれる。1831年にファラデーが発見した電磁誘導の法則により、コイルに電流が流れると磁場(magnetic field:磁界とも)が発生し、逆に磁場が変化すると電流が流れる。コイルは発振回路や変圧トランスなどのインダクタンスを持つ回路素子や磁場の発生に用いられている。コイルの自己インダクタンスの記号はL。コイルのインピーダンスの記号はZ。インダクタンス、共振回路を参照。
◆高域通過濾波器
High Pass Filter / HPF
「ハイパス・フィルタ」ともいう、略号は「HPF」。電気信号の周波数成分の中から特定の周波数よりも高い周波数だけを通過させるフィルタ回路。それよりも低い周波数の信号はほとんど通さない。
◆高周波
radio frequency / high frequency
場面によって「RF」または「HF」と略す。例外はあるが、一般に可聴周波数(20Hz〜20,000Hz)以上の電波を高周波という。特定の周波数の電波を分類する場合はHF帯の波長100m〜10m、3MHz〜30MHzの電波を高周波という。対語は「低周波」。
◆交信
conversation
英語圏では「交信」を「conversation」という。
◆較正
marker oscillator
メーター類の狂いや精度を標準器と比較して正確に調整すること。受信機のダイヤル較正は、基準の周波数を発信する「マーカー発信器」を用いるが、これを内蔵している通信型受信機も市販されている。
◆高速CW通信
High Speed-CW / HS-CW
モールス符号を超高速で送受信する通信方式。コンピュータを用いてマイクジャックから2kHzのトーンを送り込んでSSBモードで送信する。普通のCW交信のスピードは15WPM程度だが、HS-CWモードでは800WPM、超高速HS-CWでは1,200WPM/1,600WPMである。受信後の解読はコンピュータを用いる。これは人間がリアルタイムで解読できるスピードではないため(ジェット戦闘機が通り過ぎるような音である)。サウンド機能を応用したソフトウェアを使ってCWのスピードを人間が解読できるスピードに落とすか、短点と長点をモニタ画面に表示して解読する。Windowsに標準添付されているアクセサリソフトのサウンドレコーダーの「速度を下げる」(スロー再生機能)を使って解読している愛好家もいる。日本では一部の愛好家たちが144MHzと50MHzでHS-CWモードによる通信がおこなっている。欧米では1980年ごろから愛好家が現れ、現在では主に144MHz(144.100MHz ± 2kHz)でHS-CWモードによる流星散乱通信(MS:Meteor Scatter communication)を楽しんでいる。いずれも、必ずしも流星群の出現を待たずにHS-CWモードによるDX通信をしているのが現状。欧米では交信グリッドの数を競うグリッド・ハンティングや、HS-CWのコンテストが盛んである。KM5PO(以前はKD5BUR)の「流星散乱を経由する高速CW通信」(High Speed C.W. via Meteor Scatter)にHS-CWの知識が掲載されている。
◆広帯域
broad band
「ブロードバンド」とも。帯域幅が広いこと。ADSLや光インターネットなどの高速接続のブロードバンドに対して、ナローバンドは一般の電話回線で接続したインターネット環境。対語は「ナローバンド」(narrow band)。
◆高周波
high frequency / high frequency wave
高い周波数の総称。可聴周波数(20Hz〜20k)よりも高い周波数帯、または3MHz〜30MHz帯の周波数帯と定義されている。無線周波数(RF:radio frequency)も高周波の一種である。
◆高速走査テレビジョン
Fast Scan Television
「FSTV」と略す。テレビ放送と同様の規格で映像を送受信するアマチュア・テレビジョンの技術型式。1秒間に30コマの画像をやりとりする。周波数を広く占有するため、1992年以降は帯域幅が広い1200MHz以上のUHF帯でおこなわれるようになった。米国など海外のATV団体。ATVは、低速走査高速走査テレビジョンのSSTV(スロー・スキャン・テレビジョン)とは規格が異なる。
◆高調波
harmonics
周波数が基本波の整数倍である正弦波のこと。高調波成分(harmonic component)を多く含む電波は、本来の運用周波数帯以外の周波数帯に対する妨害電波になり得る。「ハーモニクス」とも。
◆国際アマチュア無線連合
International Amateur Radio Union
略称は IARU 。世界各国のアマチュア無線家とアマチュア無線機関で組織されている国際団体。1925年4月18日にフランスのパリ大学で開かれた結成総会で設立された。4月18日の日は、2005年に結成80周年を記念して「世界アマチュア無線の日」とされた。なお、戦後の日本にアマチュア無線が復活した事を祝う「アマチュア無線の日」は毎年7月29日である(制定は1973年)。
◆国際電気通信連合
International Telecommunication Union
略称は ITU 。国連(国際連合)の専門機関のひとつ。ITU本部はスイスのジュネーブにある。無線通信、そしてインターネットなどの電気通信分野の発展のため、世界各国の間の利害を調整しながら各種通信技術の公的標準や通信における規則の制定を目的としている。無線周波数帯の割り当てやプロトコルの制定もそのひとつである。ITUは「Sector」(部門)と呼ばれる部局を持つ。それはITU-R(無線通信部門)、ITU-T(電気通信標準化部門)、ITU-D(電気通信開発部門)である。世界各国の業界団体やメーカーが、それぞれの政府と組んでITUに政治的圧力を加えるため、公的標準の制定や無線周波数帯の割り当ては困難を極めることが多い。
◆極超短波
ultrahigh frequency
「UHF」と略す。波長1m〜10cm、300MHz〜3GHzの電波帯。指向性が強いため電波の到達距離・サービスエリアは短い(狭い)が、多くの局が多くのチャンネルを使うことができる。「マイクロ波」と呼ばれる周波数帯のひとつ。13ch〜62chのUHFテレビ放送、、携帯電話、PHS、業務用移動通信、GPS、ISMバンドなどのほか、430MHz帯や1200MHz帯などアマチュア無線にも利用されている。
◆個人コール
private callsign
個人に割り当てられるコールサイン。対語は「クラブ・コール」。「クラブ局」を参照。
◆固定運用
operate at the location of radio station / operate at fixed location
アマチュア無線では、建物の中のシャックで交信することを固定運用という。対語はモービルなどの「移動運用」(陸海空)。移動運用を参照。
◆コピー
copy
通信では日英ともに「了解した」という意味で用いられている言葉。モールス符号による電信では「コピーした」をR(・−・)と打電する。
◆コマーシャル
commercial
日本のアマチュア無線では「職業」「仕事」「会社」の意味で用いられている俗語。英語で「commercial Ham」と言うと無線機器メーカーなどの「アマチュア無線業界」の意味である。コマーシャル局というと放送局の意味。英語で「commercial station」というと、ラジオやテレビの商業放送局を意味する。
◆コリンズ
Collins / Rockwell Collins / Rockwell International
米国の有名なアマチュア無線機器ブランド。往年の名機としてコリンズの送信機や受信機を今でも使っているハムもいる。コリンズの歴史は戦前にさかのぼる。1933年、アイオワ州でアーサー・コリンズ氏(Arthur Collins)が1933年に創業したのが Collins Radio Company 社だった。当時、最先端で最高水準の短波無線機器(short wave radio equipment)を製造することで知られるようになった。創業直後の1933年、南極探検に成功したアメリカ人のリチャード・バード提督(Richard Evelyn Byrd)がコリンズの無線機を用いて通信したことで一躍、世界的に名を知られるようになる。1960年代から1970年代にはアポロ計画など宇宙飛行船に搭載する無線機器にもコリンズの製品が採用された。この間、アマチュア無線機器も製造して多くのハムを魅了した。1973年、 Collins Radio Company 社は財政的に行き詰まった結果、 同じアイオワ州の米国ロックウェル社(Rocwell International)に買収され、現在に至っている。コリンズはアマチュア無線機器の象徴になっていて、コリンズを熱狂的に愛した人を英語圏では「Collins man」「Collins lover」などと言う。コリンズのバーチャル博物館(W5AM)がインターネット上で公開されている。
©Rockwell International
◆コレクター
collector
収集家。電鍵コレクターはtelegraph key collectorという。電子か正孔を集めるトランジスタの電極もコレクターという。
◆混信
jamming / interference / crosstalk
通信や放送で他の電波が混じること。ジャミング(jamming)とインターフィアランス(interference)には妨害というニュアンスがある。
◆コンダクタ
conductor
「導体」「伝導体」「導線」などの総称。
◆コンダクタンス
conductance
導体における電流の流れやすさを表す量。直流回路では抵抗の逆数であり、交流回路ではインピーダンスの逆数である。
◆コンタクト
contact
無線通信などの「交信」。電鍵などの「接点」。電流の「接触」。
◆コンチキ号
Kon Tiki
ノルウェーの人類学者で探検家のヘイエルダールが、いかだの「コンチキ号」(コールサインはLI2B)で漂流航海を決行。太平洋を101日間漂流したが、この航海には5人のクルーが同乗し、その中にノルウェー人のクヌート(Knut Haugland:LA3KY)とトルステイン(Torstein Raaby)の二人の無線家がいた。漂流中の101日間、太平洋の気象データと海洋学のデータをアマチュア無線で世界中のハムを通じてアメリカに送信した。スケジュール交信の相手を引き受けたのは、W1AWをはじめとするアメリカ局だった。本書の「世界の著名なアマチュア無線家たち」の項を参照。
探検家のヘイエルダール
◆コンディション
condition
電波の伝播状態(Propagation Conditions)。電信では CONDX と略す。「2007年9月25日午前8時(世界時間)現在のHF帯の伝播状態」を「Global HF Propagation Conditions for 0800Z on 25 Sep, 2007」と表現する。「高緯度ではかなり良いか普通」は「Hi Latitude: Fair-Normal」と表現する。
◆コンテスト
contest
アマチュア無線家同士の親交や運用テクニックの向上などを目的とする交信競技。あらかじめ決められたルール(開始日時・終了日時、周波数帯など)のもとに交信数などのポイントを競う。電話交信では「CQ コンテスト」と言うが、電信では「CQ TEST」と打電する。コンテスト中に交信した記録をコンテスト・ログ(contest log)という。
◆コンデンサ
condenser / capacitor
日本語の定訳は「蓄電器」。英語圏の人に「コンデンサ」と言うと「熱交換器」と誤解されやすいので、「キャパシター」と表現すること。コンデンサ/キャパシターは電極と電極の間に誘電体をはさんで静電容量を持たせた回路素子。とも。単位はファラッド、記号はF。「キャパシタンス」を参照。
◆コンデンサ・マイク
condenser microphone
コンデンサの仕組みを応用して振動膜と電極を採用した静電型のマイク。ムービング・コイル型のマイクに比べて音質がクリアなことで定評がある。出力が小さいのでマイクアンプを使用することもある。
◆コントロール・オペレータ
Control operator
アマチュア無線局免許の代表者から指名された運用従事責任者。コントロール・オペレータが運用をおこなう場所を「コントロール・ポイント」という。
◆コンバータ
converter
変換器や変換回路の総称。交流を直流にしたり直流を交流にしたり、周波数を変えたり、アナログ信号とデジタル信号の間で相互に変換(A/D変換、D/A変換)したりするデバイス。
◆コンファーム
confirm
「確認する」「確認した」という意味だが、アマチュア無線ではQSLカードの交換などを「了解した」ことを示す言葉。電信では cfm と略す。
◆コンプレッサ
compressor
「圧縮装置」。アマチュア無線で言うコンプレッサは「オーディオ・コンプレッサ」「スピーチ・プロセッサ」「マイク・コンプレッサ」を指す。電話交信のためのSSB送信で、マイクから入る音声信号が強すぎると音声と電波が歪むので、これを圧縮して音量を下げる。またマイクから入る音声信号が弱すぎると交信相手が聴き取りにくいので音量を上げる。
◆混変調
cross modulation
隣接している周波数の信号で変調されて受信が困難になること。高周波回路などで目的の信号が妨害信号で変調されて混信すること。「クロス・モジュレーション」ともいう。
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