ふ
◆ブース
booth
ハムフェアなどのイベントの広い会場に区切られて設置される展示区画。“模擬店”。
◆ブースター
booster
電力増幅器(power booster)。小電力の送信機やトランシーバの出力を上げる外付け装置をパワー・ブースターという。スポーティ車のパワーを増大するエンジン内蔵の装置もパワー・ブースターという。
◆ブーム
boom
「張り出し棒」「支持棒」。アルミパイプなどのアンテナ・エレメントを取り付ける棒。鉄製のものが多い。
◆ファイナル
final
送信機の終段。「ファイナル段」とも。807は往年のファイナル管。パワー・トランジスタの2SC1970は小出力のファイナル・トランジスタとして用いられている。
◆ファイン・チューニング
fine tuning
物理学でいう fine tuning は、理論モデルにおけるパラメータを非常に正確に合わせること。無線関係では転じて「微同調」のこと。自動微同調回路は「automatic fine tuning circuit」という。「Fine Tuning」と語頭を大文字にすると有料デジタル衛星ラジオの「XM衛星ラジオ」((XM Satellite Radio)のエレクティック音楽チャネル(クラシック、ジャズ、ロックなどの混成ミュージック)。
◆ファクシミリ
facsimile
ファクシミリ通信またはファクシミリ機のこと。「ファックス」「FAX」と略すことも多い。FAXは米国でも用いられている略号。文字や図形や写真を画像データとして電気信号に変換し、電話回線やインターネットや電波などで送信する。受信側は電気信号を画像データに変換・再現し、用紙に印刷するかディスプレイに表示する。トランシーバに簡単なインターフェース装置をつなげてアマチュア無線に用いるハムもいる。この「アマチュア・ファックス」は、HF帯ではSSBモード、VHF/UHF帯ではFMモードで交信している。電波型式はいずれも F3C である。第1次アマチュアファクシミリ・ブームに乗る形で1981年、「日本アマチュアファクシミリ協会」(JAFA)が全国横断的に結成された。1980年代には初めて海外局とアマチュア・ファックス交信に成功したり、アマチュア・ファックスによる年賀状の交換がおこなわれたりした。
◆ファックス
facsimile
「ファクシミリ」を参照。
◆ファラッド
farad
電気容量の単位。記号は「F」。電磁理論の基礎を築いた英国の化学者・物理学者マイケル・ファラデー(1791〜1867年)に由来する。コンデンサ(キャパシター)の容量に用いられている。「ファラッド」(μF)、「ピコファラッド」(pF)などと表現する。マイクロは100万分の1、ピコは1兆分の1を表す。
◆ファン
fan
「送風機」「冷却ファン」。「ブロワー」とも。発熱する電源装置、送信機などに内蔵され、放熱・冷却する。
◆フィーダ
antenna cable / feeder
「給電線」。平衡型の平行フィーダ、不平衡型の同軸ケーブルなどがある。VHF用の平行フィーダ(インピーダンスは300Ω)」は「リボンフィーダ」とも呼ばれているが、現在はあまり使われておらず、同軸ケーブルが主流である。フィーダは和製英語。「平行フィーダ」を参照。
◆フィールド
field
「屋外または野外」。磁場(magnetic field)などの「場」。電界(electric field)などの「界」。
◆フィールドデー
Field Day
JARLが主催して毎年8月に開催している野外コンテスト。期間は足かけ2日間。野外移動局との交信数を競う。高順位のJARL会員に賞状が贈られる。バンドは3.5MHz帯〜430MHz帯。
◆フィルタ
filter
「濾波器」(ろはき)。コイル、コンデンサ、抵抗器などを組み合わせて不要な周波数成分やノイズなどを抑圧する場合などで用いられている。バンドパス・フィルタ、ハイパス・フィルタ、ローパス・フィルタ、CW受信用の狭帯域フィルタなどがある。
◆フィンガーピース
fingerpiece
横振れ電鍵のパドルやバグキーの部品のうち、指で左右に打鍵するためのパーツ。サムピースとも。
◆フェージング
fading
「フェーディング」とも表記する。電波信号を受信しているとき、信号強度が時間的に変動して聴き取りにくくなる現象。電波が、いくつもの異なった伝搬路を通ることにより、互いに干渉し合って起きる。フェージングを軽減するテクニックとしてダイバーシティ受信がある。「ダイバーシティ受信」を参照。
◆フェーズ・シフト・キーイング
Phase-Shift Keying / Phase Shift Keying
「PSK」と略す。信号の変化に応じて搬送波(キャリア)の位相を最大180度変化させるのが「位相変調」で、PM(フェーズ・モジュレーション)とも呼ばれている。変調信号がデジタルの場合のデジタル位相変調はPSK(フェーズ・シフト・キーイング)といい、エラーレート(誤り率)特性が優れているためデータ通信で広く採用されている。
◆フェイドアウト
fade out
電波信号が次第に弱まっていき、ついには消滅して受信できなくなってしまう現象。
◆フェライト
ferrite
磁性材料のひとつ。安価なため多用されている。亜鉄酸塩、または鉄を含む複合酸化物。フェライトを素材としたパーツに、高周波用の磁芯の「フェライト・コア」(ferrite core)、ノイズ対策に用いるドーナツ状の「フェライト・ビーズ」(ferrite beads)などがある。
◆フェルプス
George M. Phelps
ジョージ・フェルプス。19世紀のアメリカ人電鍵デザイナー。ホレイス・マーチンらと並び称せられている。
故人をしのぶ。
by John Casale
◆フォーン・パッチ
phone patch / telephone interconnects
アマチュア無線を介して一般の電話(公衆網)に中継すること。米国では一定のガイドラインの元に許可されているが、日本では一部許可されているもののアマチュア無線の第三者通信は禁止されている。
◆フォーン・バンド
phone band
フォーン(電話)とCWとの棲み分けのために決められたフォーン用の周波数エリア。フォーンは占有帯域幅がCWに比べて広いので、CW通信を守るためにJARLやARRLなどのアマチュア無線団体は国際的慣習を踏まえながら各バンドプラン(使用区分)の中にフォーン・バンドを設定し、この範囲でフォーンを運用するよう求めている。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。
◆フォックス・テーリング
fox-teering
フォックス・ハンティングとオリエンテーリングの合成語。日本では「FOX テーリング」と表記することが多い。1982年に中国から伝わってきた国際ルールによるフォックス・ハンティング競技を、日本のJARLが「FOX テーリング」として命名、日本の一部に根づいた。1987年夏に第一回全国大会が144MHz帯でおこなれた。欧米の一部にも「fox-teering」の呼称で知られている。この種の競技は「ARDF」「RDF」「無線オリエンテーリング」(radio-orienteering)などとも呼ばれている。「ARDF」「RDF」を参照。
◆フォックス・ハンティング
fox hunting
「キツネ狩り」に似て、発信源を持って隠れている人をフォックス(狐)に見立てて発見するまでの時間を競う競技。広い範囲のどこかに隠された一つまたは複数の発信源を、携帯型の指向性アンテナと受信機を頼りに探し出す。キツネ役が移動し続けるルールと、動かないルールとがある。自動車で探したり追跡したりする競技を「モービル・フォックスハンティング」という。この種の競技は「ARDF」「RDF」「無線オリエンテーリング」(radio-orienteering)などとも呼ばれている。「ARDF」「RDF」を参照。
◆フォネティック・コード
phonetic code
受信者側の聞き間違いを防ぐため、フォーンで「A」を「アルファ」、「あ」を「朝日のあ」などと明記するためのルールを定めたリスト。
◆複式電鍵
double-speed key / side swiper
縦振れ電鍵の接点が一つしかないのに対し、短点と長点を打ち分ける目的で複数の接点を持っている電鍵。横振れ電鍵と同義語で用いられることもある。1880年代に米国ブンネル社が「ブンネル・ダブルスピードキー」(Bunnell double-speed key)という商標名で特許を取得している。
◆復調
demodulation
変調された電波の信号から元の情報(音声など)を復元すること。変調(modulation)と逆の処理をたどるので「復調」という。検波(detection)とほぼ同義語。
◆符号
code
コード。モールス通信に使う「とんつー」も符号の一種。
◆ふじ 1号
Fuji-1 / Fuji-Oscar / FO-12 / Fuji-Oscar 12 / Japan Amateur Satellite-one
国産で初めてのアマチュア衛星の名。「JAS-1」「FO-12」「Fuji-Oscar 12」など多数のコード名や愛称が付けられている。JARLが宇宙開発事業団(NASDA)の「H1ロケット」により1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げた。「ふじ」(Fuji)とも呼ばれている。これに搭載されたデジタル系とアナログ系のトランスポンダーを設計・製作は日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が担当した。FO-12は1989年11月に運用を終えた。なお、FO-12の開発時のコード名は「JAS-1」(Japan Amateur Satellite-one)だった。
◆ふじ 2号
Fuji-2 / Fuji-Oscar 20 / FO-20
国産のアマチュア衛星2号機。1990年2月7日に打ち上げられた。「FO-20」「Fuji-Oscar 20」などとも呼ばれている。上りは145MHz帯、下りは430MHz帯を用いている。その後はアナログ系のJAモードのトランスポンダーが運用可能だが、CWビーコンの発射が不安定になっている。なお、FO-20の開発時のコード名は「JAS-1b」(Japan Amateur Satellite-one b)だった。
ふじ 2号
©AMSAT
◆プッシュ・ツー・トーク
Push To Talk / Press-To-Talk
「PTT」または「プレス・ツー・トーク」ともいう。マイクのスイッチを指で押すと送信状態になり、指をスイッチから離すと受信状態になる機能。
◆不平衡型
unbalanced / unbalanced type
たとえばアンテナの給電線の場合は平衡型と不平衡型があり、平衡型に平行フィーダ、ハシゴフィーダなどがある。不平衡型に同軸ケーブルなどがある。対語は「平衡型」。
◆浮遊容量
stray capacitance
回路がそれ自体で持つキャパシタンス。高周波の回路の設計に際して重要となる。「漂遊容量」とも。
◆ブラインド・ハム
Blind ham radio operator
目が不自由なアマチュア無線家。
◆ブラウン・アンテナ
Brown antenna / ground plane antenna
グラウンドプレーン・アンテナの別名。アース(グラウンド)の代わりにラジアル(地線)を根元などに何本か取り付けている無指向性のバーチカルアンテナ。開発者の姓に由来しているというが、「ブラウン・アンテナ」の知名度は英語圏では低い。
◆プラグ
electric plug
リグのキージャックに差し込むための差し込み器具。6.5mmプラグと、それより一回り小さいミニプラグとがある。市販されている電鍵にプラグとケーブルが付属していることもある。ケーブルにミニプラグが付いていて、ミニジャックのリグにはそのまま差し込み、6.5mmジャックのリグにつなぐ場合は6.5mmアダプタを取り付けて使うこともできる。リグがiambic方式対応のエレクトロニック・キーヤーを内蔵している場合は3ピンのプラグ(いわゆるステレオプラグ)を使うことになる。なお英語圏で「plug」というと車のイグニッション・プラグと混同される。
◆プラズマ
plasma
全体としては帯電していないが、プラスとマイナスの電荷が高密度で分布している電離気体。物質は摂氏10万度以上で全て気体になり、ほとんど単原子イオンと電子に電離した状態になるが、このように混沌としたガス状態の気体。太陽風は主に陽子と電子からなるプラズマ流である。「太陽風」を参照。
◆プラズマ圏
plasmasphere
地球磁気圏のうち、電離圏から流出した比較的温度の低いプラズマで満たされている圏域。
©NASA
◆プリアンプ
preamplifier
マイクの出力が弱すぎたときマイクと送信機の間に挿入する増幅器がプリアンプ。受信機の感度を上げるときの増幅器もプリアンプ。一般的に、微弱な信号を強くする増幅器をプリアンプと呼称する。
◆プリセット
preset
前もって設定(セット)しておくこと。たとえばトランシーバのメモリーにチャネルの周波数をセットして記憶させておくことなど。
◆プリセレクタ
preselector
受信機の選択度(昆変調やイメジー妨害の除去能力)を向上させるために用いる装置。
俗称「プリセレ」。運用周波数に連動して自動的に動作するオートマチック・プリセレクタを内蔵したトランシーバもある。
◆ブリッジ
bridge
同一の4個の回路素子を菱形に配線して電気回路を組むこと。
◆プリフィックス
prefix
「接頭辞」という意味。コールサインでたとえば[JAφBCH]の「JA」はプリフィックス、「BCH」がサフィックス(接尾辞)である。コールサインは一般に(1)プリフィックス(prefix:接頭辞)と(2)数字と(3)サフィックス(suffix:接尾辞)が組み合わされる。コールサインでたとえば[JAφBCH]の「JA」はプリフィックス、数字の「φ」(ゼロ)はエリアコード、そして「BCH」がサフィックスである。(1)プリフィックスは1〜2文字の英数字、(3)サフィックスはQAA-QZZ以外の英字である。QAA-QZZを使えない理由はQ符号と混同されるからである。世界中でほとんどのコールサインのプリフィックスは慣習的に2文字以内だが、3文字を使っても有効である(たとえばアメリカならWAでもWAAでもかまわない)。以上のコールサインのルールに従わない例外が稀にある。
◆プリント配線
printed wiring
樹脂などの平たい基板の表面に印刷技術でプリント・パターンを描いて電子回路とした配線。「印刷配線」とも。配線ミスが防げるし回路を小さくすることができる。
◆プリント・パターン
Printed Circuit pattern / Printed Circuit Board pattern
プリント基板に描かれた回路の「配線図形」。パターンを半導体上に転写するのに重要な工程のひとつにエッチング(Etch / Etching)がある。
◆フルサイズ
full size
アンテナのエレメント長をコイルなどで短縮しないこと。たとえばダイポール・アンテナの各エレメントの長さを1/4波長(アンテナ全体で1/2波長)にすると最大の性能を引き出せる。これがフルサイズ。7MHz(波長は40m)向けのダイポール・アンテナをフルサイズアンテナにするには、アンテナ全体で1/2波長の20mにする。
◆フルスケール
full scale
受信機のSメーターなどが最大値を示すこと。ローカル局からの電波が非常に強いことを俗に「フルスケで届いています」などと言う。
◆ブレイク
break
1対1の交信に第三者が割り込むこと。
◆ブレイク・イン・タイム
break in time
交信中、送受を交替するときに、約1秒間の空白時間を空けること。第三者が割り込める瞬間をつくるのが目的。
◆ブレイク接点
break contacts of relay
電圧ONで開き、電圧OFFで閉じるよう設計されたリレーの接点。対語は「メイク接点」(make contacts of relay)。
◆フレキシブル・マイク
flexible microphone
マイクの細長い首の部分に柔軟性を持たせて首が自由に曲がるタイプのマイク。首の部分が蛇腹状になっているものが多い。卓上型マイクや車載用のマイクに用いられている。
◆フレケンシー
frequency
「周波数」のこと。「周波数」を参照。
◆プレス・ツー・トーク
Press-To-Talk / Push To Talk
「PTT」または「プレストーク」「プッシュ・ツー・トーク」ともいう。マイクのスイッチを指で押すと送信状態になり、指をスイッチから離すと受信状態になる機能。
◆ブロードバンド
broadband
「広帯域」。帯域幅(バンド幅:bandwidth)が広いこと。アナログ通信では周波数の単位のヘルツを用いて帯域幅を表現し、デジタル通信ではbps(1秒当たりのビット数)を単位として表現している。帯域幅が狭いことを狭帯域(ナローバンド)といい、広いことを広帯域(ブロードバンドまたはワイドバンド)という。インターネット接続ではADSLや光がブロードバンドである。対語は「ナローバンド」。
◆プログラム・スキャン
programmable scan
VHF/UHFモービル機では、あらかじめ周波数を設定し、自動的・連続的に受信周波数(受信チャネル)をワッチして誰がどのチャネルで交信しているか、それとも空いているかをチェックできるが、この機能をプログラム・スキャンという。144MHzと430MHzの両方を自動的にスキャンするよう設定できる機種もある。
◆ブロック・ダイヤグラム
block diagram
「ブロック・ダイヤグラム」は一般に、システムやプロセスをビジュアルに描いたものをいう。無線機では回路図や機械の系統図がブロック・ダイヤグラムに相当し、トランシーバのマニュアルの巻末に付属する。
◆プロトコル
protocol
通信の約束事を定めたもの。通信プロトコル、通信規約とも。ケーブルやコネクターのピンなどの物理的な仕様や誤り訂正の方法、ルーティングなどを定めた多数のプロトコルがあって初めて通信が成立する。アマチュアパケット無線では「AX.25」が採用され、標準となっている。
◆ブロワー
blower
「送風機」。「ファン」「冷却ファン」とも。発熱する電源装置、送信機などに内蔵され、放熱・冷却する。
◆フロント
front
八木アンテナなどのビームアンテナの前方。指向性が最大の方向。「F/B」「F/S」を参照。
◆フロントエンド
front end
信号を前処理するユニット。たとえばアンプ、オシレータ、ミキサーをまとめたモジュール。コンピュータでフロントエンド・プロセッサーといえば、基本ソフト自体が本来持っている機能を拡張する日本語入力FEP(ATOK等)などを指す。
◆ブンネル社
J.H Bunnell / JH Bunnell & Company
米国ブンネル社。19世紀の著名な電鍵メーカー。アメリカ人のジェス・ブンネル(Jesse Bunnell)が1870年ごろに創業した。ジェス・ブンネルは南北戦争(1861-1865)の間、エイブラハム・リンカーン大統領(1809-1865)に仕えて電信技士として活躍した人物である。ブンネル社は高品質な電信装置のメーカーとして世界に名を馳せ、1888年には「サイドスワイパー」(Bunnell Double Speed Key "sideswiper")を世に送り出した。このサイドスワイパーは特許を取得したが、これが電鍵史上初のパドルだと言われている。ブンネルのサイドスワイパー(Bunnell sideswiper)はコレクターの間で珍重されている。コレクターたちはブンネルの電鍵だけでなくブンネルのサウンダー(電信音響機)も盛んにコレクションしている。ブンネル社は、その後、MNJインダストリアル社に吸収された。
ブンネル社を知る。
へ
◆ベークライト
bakelite
合成樹脂の一種で、絶縁材や一般機器の材料に用いられている。ノブや台に用いている電鍵も多い。
© OZ2CPU
◆ベース
base
電鍵のコンポーネントを据え付ける台。合成樹脂、スチール、真鍮、クローム、オーク材などの堅い材木が用いられている。台の重量が軽すぎると打鍵したときにずれて使いにくい。普通、600グラムから1.3キログラムくらいが使いやすいとされている。
米国製Nye Speed-Xに真鍮のベースを取り付けたところ
◆ベアフット
barefoot
リニア・アンプなどを用いること無しにトランシーバ単体で運用している状態。「ベアフット局」などとも表現する。barefootの原意は「裸足」。
◆平衡型
balanced
たとえばアンテナの給電線の場合は平衡型と不平衡型があり、平衡型に平行フィーダ、ハシゴフィーダなどがある。不平衡型に同軸ケーブルなどがある。対語は「不平衡型」。
◆平衡変調器
balanced modulator
「バランスド・モジュレータ」。俗称「バラモジ」。
◆平行フィーダ
-
平衡型の給電線のひとつ。2本の電線を平行させて合成樹脂の皮膜で包み込む構造のものが代表的。別名「リボンフィーダ」とも。かつて地上波テレビ受像器のアンテナを引き込むために用いられていた。インピーダンスは300Ω。損失が少なく安価である。弱点は、周囲の干渉を受けやすく、また雨や塩分に弱いことである。現在では同軸ケーブルが主流となっているが、現在でも一部で自作アンテナのフィーダやエレメントに用いられている。
◆ベイル
Alfred Vail
モールス符号の考案者であるサミュエル・モールスを助けたアルフレッド・ベイル(1807-1859)。1837年、モールスがおこなった公開通信実験を見て助力と援助を申し出た。ベイルとモールスの関係は、ニューヨーク市立大学でモールスの授業を受けたことのある同大学の学生だった。ベイルの技術的な協力や資金援助が無ければ、現在のモールス電信符号の体系も、電鍵や通信機器の発展もあり得なかっただろうというほどの功績を挙げた。
◆並列
parallel
電池のプラス(陽極)とプラス、マイナス(陰極)とマイナスを互いにつないだり、複数の電源や素子の同種の端子を並べて接続したりするやり方。「パラレル」とも。対語は「直列」。
◆並列共振回路
parallel resonance circuit
コイル(インダクタ/インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタ/キャパシタンス)を並列につないだ回路。共振したときに電圧が最大になる。「共振回路」を参照。
◆ヘッドセット
headset / headphone
マイクロホンとイヤホーンをペアにした受送話器。米国では普通のヘッドホンも headset という。
◆ペディション
pedition / expedition
日本で「ペディション」(エクスペディションまたはペディ)というと、JCCやJCGのために日本国内の市や郡へ移動して運用すること、そして海外遠征を意味する。なお、DX'erのためにアマチュア無線局が少ない国・地域へ遠征して運用することを「DXペディション」という。遠距離を意味するDXと、遠征を意味するexpeditionを掛け合わせた言葉。英語圏では「DX pedition」と表現しても「DX expedition」と表現しても意味が通じる。
歴史的な「ゴンワキ DXペディション」:「Gon-Waki pedition」を参照。
左からCharley Orr(W4NND)、Buddy Buttizoni(W3GRP)、Bob Denniston(1948年、VP7NG局で)
©ARRL
◆ヘテロダイン
heterodyne
受信機の検波方式のひとつ。受信機の回路に局部発信器をつくり、この信号と、受信した入力信号を混合器でミックスして周波数成分の和/差を検波する。
一方、「スーパー・ヘテロダイン」(super heterodyne)は、受信した高周波信号をいったん中間周波数に変換して増幅し、検波して音声などの信号にする。ヘテロダイン方式と同様、受信回路に局部発信器をつくり、この信号と、受信した入力信号を混合器でミックスして周波数成分の差を検波する。同調回路と局部発振器を連動させることにより、受信周波数を変えても一定の中間周波数(455kHzなど)にするため安定性が高く、感度や選択性の性能も良い。スーパー・ヘテロダイン方式を発明したのはアメリカ人のエドウィン・アームストロング(Edwin Howard Armstrong、1890〜1954年)である。
◆ヘリカル・アンテナ
helical antenna
ヘリカルは「螺旋状」(らせんじょう)という意味。ロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けたアンテナ。馬車の御者が使うむちのような形をした「ヘリカル・ホイップアンテナ」(helical whip antenna)は、主に車載用のモービルアンテナとして用いられていて、同じくロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けた構造をしている。
◆ヘルツ
hertz / Hz
電波などの波動速度と周波数を表す単位。記号はHz。周波数は補助単位の接頭語を付けるのが普通で、たとえば1秒当たりのサイクルが1,000回だと1,000Hzではなく1kHz(キロヘルツ)と表す。同様に1秒当たりのサイクルが100万回だと1MHz(メガヘルツ)と表し、1秒当たりのサイクルが10億回だと1GHz(ギガヘルツ)と表す。「周波数」「波長」を参照。
◆ヘルツ
Heinrich Rudolf Hertz
無線通信の基礎を築いたドイツの物理学者のハインリッヒ・ルドルフ・ヘルツ(1857〜1894)。1885年に独カールスルーエ工科大学の教授となり、1888年に2つの電極の間に高電圧の交流を流して火花を飛ばせて電磁波を発生させる実験に成功。これにより電磁波の存在を明らかにした。イタリア人のマルコーニは、このヘルツの実験に刺激されて無線電信の実用化と商業化に至った。
故人をしのぶ。
by The Rock Radio Experience England
◆ペレラ
Thomas B. Perera
電鍵の研究家・コレクターとして名高いアメリカ人、トム・ペレラ。ニュージャージー州立モントクレア大学の教授。「Perera's Telegraph Collector's Guide」「Telegraph Collector's Reference」などの著書がある。
◆ベンチャー
Bencher, Inc.
iambicパドルのメーカーとして有名なアメリカの電鍵メーカー。または同社の製品のパドルの呼称。本社はアメリカ合衆国イリノイ州「241 Depot Street Antioch, IL 60002」(電話847-838-3195、Fax847-838-3479)にある。
アメリカ市場では黒い四角いベース(台)にゴム足が3個のBY-1というiambicパドルに人気がある。他に、白く光るクロームベースのBY-2、部品もベースもゴールドのBY-3、部品がゴールドでベースが黒いBY-4も販売されている。
なお日本市場では、BYシリーズのパドルにスプリング・アジャスタを付けたJAシリーズが出回っている。このアジャスタはパドルのタッチの強弱を調整するもので、BYシリーズにはこのアジャスタは付いていない。ベンチャーといえばiambic方式のデュアルレバー電鍵という印象が強いが、他にシングルレバーのST-1〜ST-4も生産している。またハンドキー(縦振れ電鍵)のRJ-1とRJ-2も生産している。これらのベンチャーの電鍵の中には、銀のコンタクトに金メッキが施した製品もある。これは銀や金は装飾のためでなく、高速に打鍵したときに接点がチャタリングを起こすのを防ぐためのもの。
「ベンチャーのカタログページ」
◆変調
modulation
電波やケーブルで通信をおこなうため、信号に応じて搬送波(キャリア)を変化させること。「モジュレーション」とも。変調方式には、搬送波の振幅を変化させて変調する「振幅変調」(AM変調:SSBも含む)、搬送波の周波数を変化させる「周波数変調」(FM変調)、搬送波の位相を変化させる「位相変調」(フェーズ変調)、パルスの振幅・位相などで変調する「パルス変調」などがある。対語は「復調」。
◆偏波
polarization
偏波は電波の電界が振動する方向を表す。大別して垂直偏波、水平偏波、円偏波などがある。
ほ
◆ポータブル
portable
移動運用を意味する言葉。電話交信の場合はコールサインの最後に移動先のコールエリアを「ポータブル ゼロ」などと言う。電信では移動先はスラッシュ記号を使って伝える。。たとえば「CQ DE JA0BCH / 1」と打電した場合、「/ 1」(−・・−・ ・−−−−)はφ局が1エリアで移動運用していることを示す。
◆ホームブルー
home brew
「自家製の」「自作の」。アメリカ人は自作アンテナを「"home brew" antenna」(自家製アンテナ)などと表現する。「ハンドメイド」(handmade)に近い表現。
◆ボイス・コントロール
voice control / VOX
「音声制御」。声で装置の電源をON/OFFしたり、質問に答えたり、質問して答えを得たりすること。俗に「ボイコン」。送信機やトランシーバでは、手動で送信スイッチをON/OFFすることなく声を出すだけで送信し、声を出すのをやめれば受信に切り替えることのできるメカニズム。「VOX」(Voice Operated Relay)とも。外付けの装置でボイス・コントロール機能を実現することもあるが、最近のトランシーバはボイス・コントロール機能を内蔵している機種が多く、前面パネルに「VOX/MAN」(音声制御/手動)と表示された切替スイッチが備えられている。バックグラウンドの小さな物音や声でいきなり送信モードに入るのを防ぐために「GAIN」(マイクの感度)調整つまみや「DELAY」(反応遅延)調整つまみが搭載されているのが普通である。
◆ホイップアンテナ
whip antenna
モノポール・アンテナで接地アンテナの一種。車載アンテナの多くは垂直のホイップアンテナである。HF帯でも用いられている。エレメントの長さは全波長だが、ローディング・コイルを挿入して長さを短縮することもある。「ヘリカル・ホイップアンテナ」(helical whip antenna)も主に車載用のモービルアンテナとして用いられていて、ロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けた構造をしている。
◆方向探知
direction finding / Radio Direction Finding
指向性アンテナを用いて電波が来る方向を探り、発信源を突き止めること。無線方向探知を「RDF」(Radio Direction Finding)という。アマチュア無線では世界中でRDFの技術を競うフォックス・ハンティングやフォックス・テーリングの協議会が定期的に開催されていて、広い範囲のどこかに隠された一つまたは複数の発信源を、携帯型の指向性アンテナと受信機を頼りに探し出す。ARDF(Amateur Radio Direction Finding)ともいう。世界中にRDFの関連団体がある。
◆傍受
monitor / watch / intercept
「ワッチ」すること。交信相手でない者が無線で通信内容を聴くこと。
◆保証認定
-
アマチュア無線局の開局・変更申請の保証業務を指す言葉。購入した無線機が技適機種で、改造しないで使用する場合は、その無線機に付属する書類を管轄の総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む)に提出するが、それ以外のケースでは保証認定が必要である。
◆補助単位
Prefix Unit / Unit Prefix
基本となる単位の分量・倍量単位を意味する「補助計量単位」のこと。たとえば周波数を表す単位であるヘルツ(記号はHz)を補助単位で表すと、1,000Hzは1kHz(キロヘルツ)、100万Hzは1MHz(メガヘルツ)、10億Hzは1GHz(ギガヘルツ)となる。単位接頭語辞典。
◆ボリューム
volume / variable resistor
一般には「音量」という意味。「可変抵抗器」を指すこともある。音量などを調整する目的で無線機やオーディオ装置などに広く用いられていて、パネルにあるつまみを回して音量などを変化させることができる。無線機器の場合は機器内部の基板上に非常に小さな可変抵抗器が搭載されていることがあり、機器のカバーを外して基板上の可変抵抗器の回転部分を小さなドライバーなどで回して種々の設定をおこなうこともある。「VR」と略す。
◆ボルト
volt / voltage
電圧の単位。記号は「V」。イタリアの物理学者ボルタ(Alessandro Volta、1745〜1827年)に由来する。
◆ホレイス・マーチン
Horace G. Martin
1903年にバイブロプレックスのバグキーをデザインしたことで知られるアメリカ人。
マーチン・フラッシュ
◆ホワイト・ノイズ
white noise
「白色雑音」とも。一様な強度と広い周波数成分を持つランダムな信号。電磁波の一種である光のうち、全ての周波数成分を含んだ光は「白」であることに由来する。
◆ポンチ
punch
ドリルの刃の先端が逃げるのを防ぐ目的で、穴を開ける中心や交点部分にあらかじめ小さな凹みを付けるための工具。
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