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本章の目次

           

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◆バーチカル
vertical
「垂直の」。アマチュア無線では「垂直アンテナ」「バーチカル・アンテナ」のこと。

◆パーツ
part / parts
コンデンサ、抵抗器、コイル、ICチップなどの「部品」。特にコンデンサ、抵抗器、コイルの受動素子は三大部品と呼ばれるほど電気回路で多用されている。

◆バーチカル・アンテナ
vertical antenna
素子(エレメント)が垂直のアンテナ。水平方向の指向性は無い。電波が四方八方へ飛び、四方八方からの電波をまんべんなく受信できるメリットはあるが、その分、混信が多くなり、また特定方向へのゲインが少ないというデメリットがある。

◆バーニア・ダイヤル
vernier dial
微調整用のダイヤル。CWやSSBを受信しているとき、メインダイヤルだと周波数を巧く合わせられないときに用いられている。HF帯のトランシーバでは RITダイヤルで微調整する機種も多い。「バーニア」は「副尺」と訳されており、発明者のフランス人数学者の姓に由来する。

◆バイト
byte
情報量を表わす単位。8ビットの情報量のこと。コンピュータは0か1の2進数を取り扱うが、1本の電気回路では普通1つの2進数が表現できる。これをビット(1ビット)という。1バイトは1ビットが8つ集まったもの。伝統的にメモリーチップの記憶容量はビットで表わすが、ディスクの記録容量はバイトで表わす。

◆バイパス
bypass / by-pass
「迂回路」「別の通り道」。電気用語では「側路」。

◆バイパス回路
bypass circuit / by-pass circuit
電流を迂回させる回路。

◆バイパス・コンデンサ
bypass condenser / by-pass capacitor
不要な電流/信号をバイパスするコンデンサ。高周波回路では高周波特性が良いセラミックコンデンサが多用されている。俗称「パスコン」。

◆ハイパス・フィルタ
high pass filter / high-pass filter
「高域通過フィルタ」または「高域通過濾波器」などと訳されている。「HPF」と略す。「HPフィルタ」とも表記する。電波や電流の特定の周波数より高い周波数成分だけを通し、それよりも低い周波数は通さないか極端に減衰させる機能を持つ。

◆ハイパワー
high power
「高出力の」。電源装置や送信機やその他の素子の出力(ワット数など)が大きいこと。

◆ハイブリッド
hybrid
「混成物」または「混成の」。ハイブリッド集積回路(混成集積回路またはハイブリッドIC)はICにコンデンサや抵抗器を配したもの。ハイブリッド・カーは複数の動力源を持つ車。「ハイブリッド技術」は電子・動力・農業などにおける複合テクノロジーの総称。

◆バイブロプレックス
Vibroplex Company Inc.
1890年創業の電鍵メーカーで、米国アラバマ州に本社(11 E. Midtown Park, Mobile, AL 36606-4141)(電話251-478-8873、FAX251-476-0465)があるバイブロプレックス社(http://www.vibroplex.com/)。またはその製品。トレードマークが赤い背中の虫(バグ)であることから、バイブロプレックス社の電鍵は「バグキー」という愛称で呼ばれている。同社の主な現行製品は、シングルレバーの「バイブロプレックス・オリジナル」である。この製品は1903年にホレイス・マーチンがデザインして翌年1904年に最初に特許を取得。ホレイス自身も愛用したという。他にデュアルパドルの「コードウォリアJr.(Code Warrior Jr.)」や「スクエアレーサー(Square Racers)」「アイアムビックデラックス(Iambic Deluxe)」がある。また縦振れの「ストレートキー(The Straight Key)」、そして縦振れ電鍵と横振れ電鍵の複合型の「ダブルキー(Double Keys)」も販売している。バイブロプレックス・チャンピオンは1939年に生産が始まり1980年に製造停止となった。前期のものは台が黒いチリメン塗装が多く見られ、後期のものはグレーの塗装が多く見られる。

Vibroplexの初期モデル

◆パイ・マッチ
pi matching
アンテナへとつながる終段回路に用いられる整合回路のひとつ。アンテナ・マッチングの一形態。アンテナ側と送信出力側のインピーダンスを整合させて効率よく電波を発射するのが目的。コイルの両端にそれぞれバリアブル・コンデンサをつないだ回路の形がギリシャ文字の「π」に似ていることからこのように呼ばれている。

◆パイルアップ
pile-up
珍局の出現に対してハムが一斉にコールする混雑状態。pile-upには車の多重衝突という意味もある。

◆パイレート
pirate
「海賊」「海賊放送局」「海賊行為をする」の意味。著名局や珍局のコールサインを詐称したり、無免許(アンカバー)で運用したりすること。

◆バグキー
bug key
半自動横振れ電鍵の通称。本来、米国バイブロプレックス(Vibroplex)社(http://www.vibroplex.com/)の製品が古くから半自動横振れ電鍵であり、その電鍵に赤い虫(バグ)のトレードマークが飾られているためバグキーと呼ばれるようになり、そしていつしかバグキーは半自動横振れ電鍵一般の代名詞的な呼び名となった。バイブロプレックス社は現在、製品のラインアップにバグの名を冠した「オリジナル・ゴールドバグ(Original Gold Bug)」を加えている。

◆白色雑音
white noise
「ホワイト・ノイズ」とも。一様な強度と広い周波数成分を持つランダムな信号。電磁波の一種である光のうち、全ての周波数成分を含んだ光は「白」であることに由来する。

◆パケット通信
packet communication
データ本体をパケットという小さな単位に分割したうえで各パケットにアドレス(宛先)などのヘッダ情報を付けて伝送する「パケット交換」と呼ばれる技術を用いた通信形態。インターネットが代表的なパケット通信網である。あらかじめ通信路を確保することはしない。受信側はパケットの連続番号にしたがって元のデータに組み立て直す。わざわざデータを分割してから送信する理由は、たとえば大型ロケットを完成形のまま運送しようとすると、一般の宅配便では対応できない。大型トレーラーを用いても狭い道路は通れない。しかしロケットをパーツに分解すれば、小包で一つずつ送ることができる。パーツが届けば、そこで設計図通り組み立てれば、また元の形に再現できる。通信でも、大きなデータを一度に送信しようとすると、送り終わるまで伝送路を独占してしまい、他の通信が不可能になる。しかしデータをパケットの単位に分けて送信すると、他のデータと相乗りして通信することもできて便利である。パケット交換技術を電話網に応用すれば、一本の海鮮で複数の人がそれぞれ別々の人と通話することも不可能ではない。パケット交換は米国のポール・バランらが1960年代に開発し、インターネットの母体であるARPANET(アルパネット)に採用した。

◆パケット無線通信
packet-radio communication
電波によるパケット通信。「アマチュア・パケット無線」を参照。

◆パケット無線プロトコル
protocol for amateur packet radio
パケット無線通信で用いられるプロトコル(通信規約)。アマチュア・パケット無線では「AX.25」がアマチュア・パケット無線の標準プロトコルとなっている。これはARRLが中心となって AX.25 プロトコルをアマチュア無線局の2局間通信に転用したもので、1982年6月26日にWA7GXD(Lyle Johnson) と KD2S(Den Connors)が初交信に成功した。「アマチュア・パケット無線」を参照。

パケット無線用インターフェース

◆パス
path
電波などの通り道。「日没時にヨーロッパとのパスが開けた」などと表現する。海外のDX局と交信しているとき、電波が短い距離のパス(通り道)で届くのがショートパス、逆に地球の周りを遠回りして届くのがロングパス。パスの「ス」は th なので発音に注意が必要である。

◆ハチの字特性
"Figure-Eight" pattern / figure-of-eight directivity / figure of eight directivity pattern
「8の字指向性」とも。ダイポール・アンテナなどの一直線の水平アンテナの指向性が8の字の形状をしていることからこのように呼ばれている。

◆波長
wavelength
電波などの周期波動の相隣り合う山と山(あるいは谷と谷)の距離が波長。m(メートル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)で表す。「周波数」を参照。
波長(λ[m])=電波の速度(C[m/s])÷周波数(f[Hz])
【注】電波の速度(C)は30万km/秒=300000000m/s

◆バックノイズ
back noise
運用者の声以外にマイクから入る雑音。日本的な表現。

◆バックラッシュ
backlash
歯車や部品間のガタやゆるみ。

◆パッシブ素子
passive element
「受動素子」とも。単独では増幅作用や発振作用などのエネルギーを生む能力が無いパーツ。抵抗、コンデンサ、コイルが代表的な受動部品。対語は「能動素子」。

◆パッシブ・フィルタ
passive filter
「受動フィルタ」とも。抵抗とコンデンサとコイルだけを組み合わせたフィルタ。増幅作用や発振作用は無い。対語は「アクティブ・フィルタ」。

◆発振
oscillate / oscillation / electronic oscillation
振動を起こすこと。電気回路が自己振動すること。

◆発振回路
oscillator / electronic oscillator
発振作用を持続させる電気回路。「発振器」とも。インダクタ(コイル)とキャパシター(コンデンサ)で発振するLC発振回路や、水晶(クリスタル)を用いる水晶発振器などがある。発振回路または発振器を「OSC」と略すことがある。

◆バッテリー
battery
電気エネルギーを蓄えるもの。化学的な仕組みのものが多い。「蓄電池」または「電池」「乾電池」。日本では一般に自動車用のような大型のものを指す。英語圏で battery というと電池を真っ先に思い浮かべる人のほうが多い。

◆パドル
paddle
平たい形をした電鍵レバー、または平たい形をした電鍵レバーを持った電鍵。パドルとは、卓球のラケットや小舟を漕ぐカイという意味で、そのような形状をしたレバーで打鍵する電鍵をパドルと呼ぶ。レバーが1枚のパドルを「シングル・パドル」、レバーが2枚あるパドルを「デュアル。パドル」という。

◆ハム
ham
アマチュア無線、またはアマチュア無線家の通称。このように呼ばれるに至ったのかは「3人の偉人の名前説」「3人のアマチュア無線家の名前説」「サンドイッチの中のハム説 」など多くの諸説がある。 本書の
「知られざるハム語の由来★史実と神話」を参照。

◆ハム
hum
「ハム音」「ハムノイズ」ともいう。「ブ〜ン」という連続的な低周波の雑音。主に家庭用のAC電源から紛れ込むが、この場合は50Hz〜60Hzのハム音として聞こえる。

◆ハムショップ
ham radio store / ham radio shop
アマチュア無線機器やアクセサリを専門に扱っているお店。東京・秋葉原と大阪・日本橋に集中しているが、地方にもある。

◆ハムバンド
Amateur radio band
アマチュア無線向けに割り当てられた周波数帯。「アマチュア・バンド」とも。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。

◆ハムフェア
Ham Convention / Hamfest / Hamvention
JARLが毎年夏季に東京都内で開催する日本国内最大のアマチュア無線の祭典。各ブースで新製品の無線機展示や電鍵コーナー、DXコーナーが設置され、即売会なども催される。近年は外国人やJARL役員を含めて延べ約3万人が入場者する。米国では毎月、「ハムフェスト」「ハムベンション」などと呼ばれるハムフェアが多数開催されており、ARRLのハムフェア検索サイトで年/月/開催地(州)などによりARRLの主催または協賛のフェアを探すことができる。「Dayton Hamvention」を参照。

◆ハムベンション
Hamvention
ハムの祭典のアメリカ流の呼び方。毎年5月に米国オハイオ州(2008年は Trotwood のハラ・アリーナ)で開催される「デイトン・ハムベンション」(Dayton Hamvention)で広く知られるようになったハムフェアの呼び方。1952年からデイトン・アマチュア無線協会(DARA:Dayton Amateur Radio Association)が米国各州をはじめ世界中からアマチュア無線家を迎えて毎年開催するハムフェア。近年は参加者が数万人規模の人気フェアであり、無線機やパーツや電鍵などの売買でにぎわう。

◆パラ
parallel
「並列」を意味する「パラレル」の日本風つづめ読み。同じ形で同じサイズの8本の八木アンテナを2段に積み重ねたものを「8パラ2段」という。

◆パラ
parasitic oscillation
「寄生発振」または「寄生振動」を意味する「パラスティック・オシレーション」の日本風つづめ読み。発振回路の設計や配慮を誤ったり、入力〜出力間に回り込みが起きたりしたときに発生する異常振動。これが起きると、スピーカーとマイクがハウリングを起こすように、目的の周波数以外の発振が発生して正常に動作しない。

◆バラクター・ダイオード
varactor diode
「可変容量ダイオード」または「バリキャップ」の一種で、周波数逓倍用の可変容量ダイオードのこと。

◆パラボラアンテナ
parabolic antenna
指向性が非常に鋭く利得も非常に高い放物面状の反射器を持つアンテナ。放物面状の反射器が皿の形をしていることから「ディッシュ」(皿)とも呼ばれる。マイクロ波通信、レーダー、テレビ衛星放送の受信、衛星通信、コンピュータのデータ通信などに用いる。テレビ放送用の直径は18インチ(約46センチ)が一般的である。VSAT(ブイサット=超小型地球局)の場合、データ通信用のもので24インチ(約60センチ)から36インチ(約92センチ)。地上の小さなパラボラアンテナで宇宙と通信できるのは、人工衛星に搭載されている送信用のパラボラアンテナが電波を鋭いビームに絞り込んで送信することと、使用する電波の波長が短いためアンテナのサイズが小さくて済むことにある。

◆パラレル
parallel
「並列」を参照。

◆バラン
balun
「バルン」と発音することもある。「平衡/不平衡変換器」と訳されている。「balanced」(平衡)と「unbalanced」(不平衡)を合成した語。たとえば平衡タイプの平行2線フィーダ(インピーダンスは300Ω)と、不平衡タイプの同軸ケーブル(インピーダンスは50/75Ω)をつなぎたい場合、バランが必要になる。

◆バランスド・モジュレータ
balanced modulator
「平衡変調器」と訳されている。俗称「バラモジ」。

◆バリアブル・コンデンサ
variable capacitor / variable condenser
ツマミを回転させたりして容量を変化させることができるコンデンサ。回路図ではVCと略す。英語圏では「variable capacitor」というと通じる。

◆バリコン
variable condenser
バリアブル・コンデンサの俗称。

◆バリスター
varistor
「portmanteau of variable resistor」(両開き旅行鞄風可変抵抗器)を語源としているが、可変抵抗器ではなく、可変ダイオードの一種であり、電圧によって内部抵抗が変化する性質がある。素子の形は両開き旅行鞄に似ている。VDR(Voltage Dependent Resistor)ともいう。

◆パルス
pulse
灯台の閃光のように瞬間的な時間だけ発する間欠的な電流や電波や光の信号。パルスの幅を長・短の2種類にして情報を伝える通信手段がモールス符号である。周期的に繰り返されるパルスを「周期パルス列」と呼ぶ。光ファイバー回線によるデータ通信ではONのビットは光のパルスで表し、OFFのビットは光の無い状態で表す。電波やケーブルによる通信では一定周波数の正弦波やパルス波が搬送波の役目を果たす。デジタル通信では「パルス符号変調方式」が用いられている。「PCM」を参照。

◆パワー・アンプ
power amplifier
「電力増幅器」。

◆パワー・ブースター
power booster
電力増幅器。小電力の送信機やトランシーバの出力を上げる外付け装置はパワー・ブースター。スポーティ車のパワーを増大するエンジン内蔵の装置もパワー・ブースターという。

◆パワーメーター
power meter
アマチュア無線の機器では「高周波電力計」。運用しながら計測できる通過型と、出力テストのためにダミーロードとともに用いる終端型がある。アナログ表示のものとデジタル表示のものがある。

◆ハングアップ
hang up
システムエラーの一種。コンピュータなどの電子機器が、なんらかの不具合により停止したまま反応しなくなる現象。hang upには米語で「電話を切る」という意味がある。

◆半固定
operate in a sitting car
モービル運用の局が、駐車中か停車中の車の中から運用すること。アマチュア無線の俗語。

◆パンザマスト
panzer mast
アンテナを立てるための垂直なマストのひとつ。鉄製の円筒をいくつか繋いで柱にしたもの。パンザマストは市販されている。

◆半自動電鍵
semiautomatic key
バイブロプレックスのバグキーに代表される、振り子の原理でモールス符号の短点を自動送出するタイプの電鍵。

◆反射器
reflector
ビームアンテナで、前方への指向性を高めるために電波を反射させる役割を持ったエレメント。八木アンテナのようなビームアンテナのエレメント(素子)は、電波の発射方向から順に、導波器(director)、輻射器(driven element)、反射器(reflector)の順番で並べられる。導波器は輻射器より短い。反射器は輻射器より長い。反射器が1エレメントでも、導波器は1エレメントか複数エレメントを用いることが多い。

◆反射波
reflectd wave
ケーブルとアンテナのインピーダンス・マッチングが良くないと、送信機からケーブルを通じてアンテナへ送った電波(進行波)が、一部、戻ってくる。これが反射波。「進行波」「定在波」「SWR」を参照。

◆搬送波
carrier / carrier wave
「キャリア」ともいう。電波で情報を伝送するには、金属ケーブルや光ケーブルの有線媒体と同様、搬送波に変調を加えて信号を送信し(CWは搬送波を断続)、受信側はこの信号を復調(検波)して元の情報になおす方法が採用されている。情報を含む電気信号を送信するには信号を搬送波に乗せる必要がある。信号に応じて搬送波を変化させることを「変調」(モジュレーション)という。搬送波と信号の関係を430MHz帯の通信で見ると、搬送波は430MHz帯の電波で、この搬送波に対して変調をかける信号はハムがマイクを通じて話す声に当たる。可聴周波数は20Hz〜10kHzなので、430MHz帯の高周波は聞こない。すなわち430MHz帯の周波数に20Hz〜10kHzの周波数を混ぜて伝送することにある。この場合、430MHz帯の電波が搬送波で、20Hz〜10kHzの周波数の信号が音声情報ということになる。

◆搬送波抑圧比
carrier suppression ratio
AM変調方式の一種であるSSBは、搬送波(キャリア)と、上下どちらかの側波帯を抑圧することで送信電力の省エネ化と占有帯域幅の節約を図るが、このうち搬送波をどのくらい抑圧できるかの比率が搬送波抑圧比である。dB(デシベル)で表す。WARC(世界無線通信主管庁会議)は、2015年12月31日までを目標として短波放送で両側波帯をやめ、最終的に12dBの搬送波抑圧比の単側波帯放送かデジタル放送に切り替えることにした。近年のアマチュア無線機では60dB以上の搬送波抑圧比、不要側帯波抑圧比でも60dB以上を実現している。1960年代の自作SSB機では搬送波抑圧比が悪くて搬送波成分をかなり含んでいたため「ピー」というビート音がする電波も少なくなかった。

◆半導体
semiconductor
常温における電流の伝導性が、銅のような良導体と、ガラスや雲母のような絶縁体との中間である性質を持つ固体素材、または素子、または素子の集積回路。シリコン、ゲルマニウム、セレンなどが素材として用いられている。トランジスタの発明で半導体は「産業の米」とまで呼ばれるほど多用されるようになった。

◆ハンダ
solder
ハンダは摂氏180〜190度で溶ける金属接合用の可溶性合金(スズと鉛の合金)。ハンダゴテに通電して熱し、その熱でハンダを溶かして電線や回路部品を互いに溶着させ、電気的につなぐ。動詞で「ハンダ付けをする」も solder と表現する。てんぷらにならないよう、ハンダゴテを充分に熱し、ハンダゴテを当てる時間を適切にし、ハンダ付け部分のリード線などの表面を事前に清掃するなどの対策をとる。起きないように電線状のハンダの芯に溶剤の“ヤニ”を入れた「活性ヤニ入りハンダ」(Flux core solder)が市販されている。「てんぷら」を参照。

◆ハンダゴテ
soldering iron
ハンダ付けをする工具。英語圏では iron と言うので、家庭用アイロンの一種と考えているようである。

◆ハンディ
handy
日本のアマチュア無線家がハンディといえば、手の平に入る小さな携帯型トランシーバのこと。英語圏で「ハンディトーキー」(Handy Talky)といえばアマチュア無線では使えない小型トランシーバのこと。アマチュア無線向けの携帯型トランシーバは、たとえば144MHz帯用なら「handheld 2m transceiver」という。米国で「Two-Way Radio」といえば、アマチュア無線向けとアマチュア無線以外向けの携帯型トランシーバの総称。

◆バンド
band / frequency spectrum
周波数帯のこと。特定の範囲の周波数域。アメリカ人は spectrum という言葉をしばしば使う。「周波数」を参照。

◆バンドエッジ
band edge
各バンドの下端と上端。日本では、たとえば3.5MHz帯なら下端のバンドエッジは3500kHz、上端のバンドエッジは3575kHzである。

◆ハンド・キー
hand key
横振れ電鍵では指で左右にパドルを動かしてモールス符号を送信するが、縦振れ電鍵では手(ハンド)全体を使ってモールス符号を打つことから、ハンドキーは古くからの縦振れ電鍵を意味するようになった。

ヨーロッパ製のハンド・キー「CTアジア」

◆バンド使用区分
Amateur Radio Band Plans
アマチュア無線向けに割り当てられた各周波数帯(アマチュア・バンド)と、それぞれの周波数帯における電波型式などのルール。「バンドプラン」に同じ。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。

◆バンドスコープ
band scope
一定の幅の周波数帯に、どのような電波がどのくらいどんな強度で出ているかをビジュアルにリアルタイムに総覧できる装置。かつてはブラウン管モニターだけだったが、近年は液晶画面のものが多く現れている。バンドスコープ機能(またはワイドバンドスコープ)が内蔵されている高級トランシーバや受信機が市販されている。携帯型無線機でもバンドスコープ機能を内蔵している機種がある。

◆バンドパス・フィルタ
band pass filter / band-pass filter
「BPF」と略す。「帯域通過フィルタ」または「帯域通過濾波器」と訳されている。「BPフィルタ」とも表記する。電波や電流の必要な周波数成分だけを通し、他の周波数は通さないか極端に減衰させる機能を持つ。ハイパス・フィルタ回路とローパス・フィルタ回路のコンビで製作できる。アマチュア無線や業務無線では、不要な電波を発射するのを防いで電波障害防止に利用することでも良く知られている。

◆バンドプラン
Amateur Radio Band Plans
アマチュア無線向けに割り当てられた各周波数帯(アマチュア・バンド)と、それぞれの周波数帯における電波型式などのルール。「バンド使用区分」に同じ。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。

◆ハンドマイク
hand microphone / handheld microphone
手に持って通話できるタイプの小型マイクロホン。机の上に置いたま通話できない。マイクのスイッチを指で押すと送信状態になり、指をスイッチから離すと受信状態になるPTT(Push To Talk:プッシュ・ツー・トーク)スイッチが付いているものが多い。

◆ハンドメイド
handmade
「(機械ではなく手で作った)手作りの」という意味と、「自作の」という意味がある。アメリカ人は自作アンテナを「"home brew" antenna」(自家製アンテナ)などと表現することもある。



◆ビーコン
beacon
「標識信号」。JARLやARRLは、14.100MHzなどの周波数でビーコンを送信していて、電波の伝搬状態のチェックに用いられている。またアマチュア衛星もテレメトリなどのビーコンを送信している。「テレメトリ」を参照。

◆ヒース
Heath
「ヒース・キット」(Heathkit)で名高い米国のアマチュア無線機器メーカー。映画「オーロラの彼方に」で用いられていた無線機もヒース製だった。

HF帯(10-80m)のハイパワー機、SB-220

◆ピーチャン
police channel
「ポリス・チャンネル」(警察無線周波数)の俗語。「Pチャン」と表記することもある。

◆ビート
beat / beat noise
近接する複数の周波数の信号の周波数差により生じる「ピー」という可聴周波数の音。ビート音とも。

◆ヒートシンク
heat sink / heatsink
「放熱板」「放熱器」のこと。発熱するパワートランジスタなどの半導体に取り付ける軽金属の放熱装置。

◆ビーム
beam
電波の束。指向性のある電波。

◆ビームアンテナ
beam antenna
四方八方ではなく、一定の方向へ集中して電波を出したり、一定の方向からの電波を選択的に受けることのできるアンテナ。八木アンテナが代表的なビームアンテナ。指向性アンテナのひとつ。反射器というエレメントを持ち、前面指向性を持たせるのが一般的である。「F/B」「指向性アンテナ」を参照。

◆ビームパターン
beam pattern
指向性アンテナが出す電波エネルギーの分布を図にしたもの。普通は真上から見たと仮定して表す360度方向の分布図をビームパターンという。「F/B」「指向性アンテナ」を参照。

水平分布の指向性パターン

◆ビームマップ
beam map / Beam Heading Map
ビームアンテナを用いてDX通信やDX受信をする際、ビームアンテナをどの方位に向けると良いかを見るための世界地図。「ビーム・ヘッディング・マップ」ともいう。

米国で市販されているビームマップ

◆光ファイバー
optical fiber
コンピュータネットワークの光通信に用いられる伝送媒体。信号の光パルスを伝える光ファイバーのコア(芯)の直径は数ミクロンから数十ミクロン(1ミクロンは1m/1,000,000)。電波と光ファイバーは地球規模の通信ネットワークを構築するのに大きく貢献した。

◆光ファイバーケーブル
optical fiber cable / fiber-optic cable
光ファイバーを用いたケーブル。光パルス信号は中核部のコア(芯)を走る。そのスピードは光の速さだが、コアの中で反射を繰り返す分だけ走る距離が長くなる。このためコアが細ければ細いほどジグザグに反射を繰り返す回数が少ないため光パルス信号は速く遠くまで伝わる。つまり直線は2点間を最短距離で結び、ジグザグで走れば長い距離を走ることになるためである。光ファイバーには、コストが高くつくが高性能で極細の「シングルモード型光ファイバー」と、コストが安上がりの「マルチモード型光ファイバー」とがある。光ファイバーのコアの周りはクラッディングという鏡筒状の皮膜で覆われて光パルス信号が散乱して減衰するのを防ぐ。クラッディングの周りは合成樹脂などで覆いわれ、水や砂からケーブルの内部構造を守る。2000年以降、光ファイバーケーブルの低価格化が劇的に進み、有線通信網の高速化・広帯域化を大きく促進した。光ファイバー回線によるデータ通信では、ONのビットは光のパルスで表し、OFFのビットは光の無い状態で表す。銅ケーブルが「ノイズや混信を拾うアンテナ」と化してしまったり、電波がノイズや混信を拾いやすい現実と対照的に、光ファイバーは光信号を用いるため電気的な悪影響を受けない。電波を出さないため傍受や盗聴に対して安全である。伝送距離が長くなっても光信号はあまり減衰しない。しかし光変換装置などのコストが高く付く。

◆ピギーバック
piggyback
原意は「おんぶ」。「ピギーバック衛星」とは打ち上げ用ロケットの余剰積載スペースを用いて主衛星といっしょに打ち上げられる小さめの人工衛星のこと。

◆ビギナー
beginner
「新顔」「新人」。免許とりたての人。「ニューカマー」(newcomer)とも。

◆ピコ
pico
1兆分の1を表す単位の接頭語。記号はp。「pF」(ピコファラッド)などと表記する。

◆ピコ衛星
pico satellite / pico-satellite
重量100kg以下の超小型衛星をマイクロ衛星というが、さらに小さな重量3kg未満、または10kgから1kgほどの超々小型衛星は「ピコ衛星」と呼ばれている。いずれもロケットではなくジェット機で打ち上げる選択肢も前提としている。打ち上げの決断から1時間以内に軌道へ発射でき、費用も一回当たり数十万ドル程度と低予算で可能である。民生用だけでなく軍事用にも転用が可能。なお「ピコ衛星」と言わず「ナノ衛星」というのも同様の意味合いである。

◆ピストン・トリマー
piston trimmer / Piston Trimmer Capacitor
シリンダ内のピストン状の電極が往復して容量を変化させる可変コンデンサ。1pF〜25pF、0.4pF〜6pF、0.25pF〜1.5pFなどのものが市販されている。

0.25pF〜1.5pFのピストン・トリマー

◆ビット
bit
「BInary digiT」の略。2進数の1桁。コンピュータの内部では電圧の高低でデータを扱っており、これを1か0かの2進数で表現する。伝統的にメモリーチップの記憶容量はビットで表わすが、ディスクの記録容量はバイトで表わす。

◆ビューロー
bureau
アマチュア無線で「ビューロー」というとJARLやARRLが扱っているQSL転送システムのこと。「QSL PSE VIA BURO」「Please send QSL card via the bureau.」(QSLカードを<JARLやARRLなどの>ビューロー経由でお願いします)などと用いる。

◆標準電波
standard time signal radio
時間と周波数の標準を広く知らせるための無線信号。日本の標準電波は JJY のコールサイン(呼出符号)で出されている。標準電波は「時間と周波数の標準」と「UTC(協定世界時)に基づくJST(日本標準時)」を国内外に知らせる目的で独立行政法人情報通信研究機構(NiCT)が運用している送信電波。長波帯のJJYでタイムコード(時刻情報)を送信している。送信する時間、周波数の標準と標準時の信号は、セシウムビーム型原子周波数標準器や水素メーザ型、実用セシウムビーム型原子時計群、人工衛星を使った国際時刻比較などを用いて非常に高い精度に保たれている。米国の「NIST」「WWV 」を参照。

◆ビルトイン
built-in
「内蔵されている」という意味。「内蔵アンテナ」は built-in antenna という。



◆ブース
booth
ハムフェアなどのイベントの広い会場に区切られて設置される展示区画。“模擬店”。

◆ブースター
booster
電力増幅器(power booster)。小電力の送信機やトランシーバの出力を上げる外付け装置をパワー・ブースターという。スポーティ車のパワーを増大するエンジン内蔵の装置もパワー・ブースターという。

◆ブーム
boom
「張り出し棒」「支持棒」。アルミパイプなどのアンテナ・エレメントを取り付ける棒。鉄製のものが多い。

◆ファイナル
final
送信機の終段。「ファイナル段」とも。807は往年のファイナル管。パワー・トランジスタの2SC1970は小出力のファイナル・トランジスタとして用いられている。

◆ファイン・チューニング
fine tuning
物理学でいう fine tuning は、理論モデルにおけるパラメータを非常に正確に合わせること。無線関係では転じて「微同調」のこと。自動微同調回路は「automatic fine tuning circuit」という。「Fine Tuning」と語頭を大文字にすると有料デジタル衛星ラジオの「XM衛星ラジオ」((XM Satellite Radio)のエレクティック音楽チャネル(クラシック、ジャズ、ロックなどの混成ミュージック)。

◆ファクシミリ
facsimile
ファクシミリ通信またはファクシミリ機のこと。「ファックス」「FAX」と略すことも多い。FAXは米国でも用いられている略号。文字や図形や写真を画像データとして電気信号に変換し、電話回線やインターネットや電波などで送信する。受信側は電気信号を画像データに変換・再現し、用紙に印刷するかディスプレイに表示する。トランシーバに簡単なインターフェース装置をつなげてアマチュア無線に用いるハムもいる。この「アマチュア・ファックス」は、HF帯ではSSBモード、VHF/UHF帯ではFMモードで交信している。電波型式はいずれも F3C である。
第1次アマチュアファクシミリ・ブームに乗る形で1981年、「日本アマチュアファクシミリ協会」(JAFA)が全国横断的に結成された。1980年代には初めて海外局とアマチュア・ファックス交信に成功したり、アマチュア・ファックスによる年賀状の交換がおこなわれたりした。

◆ファックス
facsimile
「ファクシミリ」を参照。

◆ファラッド
farad
電気容量の単位。記号は「F」。電磁理論の基礎を築いた英国の化学者・物理学者マイケル・ファラデー(1791〜1867年)に由来する。コンデンサ(キャパシター)の容量に用いられている。「ファラッド」(μF)、「ピコファラッド」(pF)などと表現する。マイクロは100万分の1、ピコは1兆分の1を表す。

◆ファン
fan
「送風機」「冷却ファン」。「ブロワー」とも。発熱する電源装置、送信機などに内蔵され、放熱・冷却する。

◆フィーダ
antenna cable / feeder
「給電線」。平衡型の平行フィーダ、不平衡型の同軸ケーブルなどがある。VHF用の平行フィーダ(インピーダンスは300Ω)」は「リボンフィーダ」とも呼ばれているが、現在はあまり使われておらず、同軸ケーブルが主流である。フィーダは和製英語。「平行フィーダ」を参照。

◆フィールド
field
「屋外または野外」。磁場(magnetic field)などの「場」。電界(electric field)などの「界」。

◆フィールドデー
Field Day
JARLが主催して毎年8月に開催している野外コンテスト。期間は足かけ2日間。野外移動局との交信数を競う。高順位のJARL会員に賞状が贈られる。バンドは3.5MHz帯〜430MHz帯。

◆フィルタ
filter
「濾波器」(ろはき)。コイル、コンデンサ、抵抗器などを組み合わせて不要な周波数成分やノイズなどを抑圧する場合などで用いられている。バンドパス・フィルタ、ハイパス・フィルタ、ローパス・フィルタ、CW受信用の狭帯域フィルタなどがある。

◆フィンガーピース
fingerpiece
横振れ電鍵のパドルやバグキーの部品のうち、指で左右に打鍵するためのパーツ。サムピースとも。

◆フェージング
fading
「フェーディング」とも表記する。電波信号を受信しているとき、信号強度が時間的に変動して聴き取りにくくなる現象。電波が、いくつもの異なった伝搬路を通ることにより、互いに干渉し合って起きる。フェージングを軽減するテクニックとしてダイバーシティ受信がある。「ダイバーシティ受信」を参照。

◆フェーズ・シフト・キーイング
Phase-Shift Keying / Phase Shift Keying
「PSK」と略す。信号の変化に応じて搬送波(キャリア)の位相を最大180度変化させるのが「位相変調」で、PM(フェーズ・モジュレーション)とも呼ばれている。変調信号がデジタルの場合のデジタル位相変調はPSK(フェーズ・シフト・キーイング)といい、エラーレート(誤り率)特性が優れているためデータ通信で広く採用されている。

◆フェイドアウト
fade out
電波信号が次第に弱まっていき、ついには消滅して受信できなくなってしまう現象。

◆フェライト
ferrite
磁性材料のひとつ。安価なため多用されている。亜鉄酸塩、または鉄を含む複合酸化物。フェライトを素材としたパーツに、高周波用の磁芯の「フェライト・コア」(ferrite core)、ノイズ対策に用いるドーナツ状の「フェライト・ビーズ」(ferrite beads)などがある。

◆フェルプス
George M. Phelps
ジョージ・フェルプス。19世紀のアメリカ人電鍵デザイナー。ホレイス・マーチンらと並び称せられている。
故人をしのぶ。


by John Casale

◆フォーン・パッチ
phone patch / telephone interconnects
アマチュア無線を介して一般の電話(公衆網)に中継すること。米国では一定のガイドラインの元に許可されているが、日本では一部許可されているもののアマチュア無線の第三者通信は禁止されている

◆フォーン・バンド
phone band
フォーン(電話)とCWとの棲み分けのために決められたフォーン用の周波数エリア。フォーンは占有帯域幅がCWに比べて広いので、CW通信を守るためにJARLやARRLなどのアマチュア無線団体は国際的慣習を踏まえながら各バンドプラン(使用区分)の中にフォーン・バンドを設定し、この範囲でフォーンを運用するよう求めている。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。

◆フォックス・テーリング
fox-teering
フォックス・ハンティングとオリエンテーリングの合成語。日本では「FOX テーリング」と表記することが多い。1982年に中国から伝わってきた国際ルールによるフォックス・ハンティング競技を、日本のJARLが「FOX テーリング」として命名、日本の一部に根づいた。1987年夏に第一回全国大会が144MHz帯でおこなれた。欧米の一部にも「fox-teering」の呼称で知られている。この種の競技は「ARDF」「RDF」「無線オリエンテーリング」(radio-orienteering)などとも呼ばれている。「ARDF」「RDF」を参照。

◆フォックス・ハンティング
fox hunting
「キツネ狩り」に似て、発信源を持って隠れている人をフォックス(狐)に見立てて発見するまでの時間を競う競技。広い範囲のどこかに隠された一つまたは複数の発信源を、携帯型の指向性アンテナと受信機を頼りに探し出す。キツネ役が移動し続けるルールと、動かないルールとがある。自動車で探したり追跡したりする競技を「モービル・フォックスハンティング」という。この種の競技は「ARDF」「RDF」「無線オリエンテーリング」(radio-orienteering)などとも呼ばれている。「ARDF」「RDF」を参照。

◆フォネティック・コード
phonetic code
受信者側の聞き間違いを防ぐため、フォーンで「A」を「アルファ」、「あ」を「朝日のあ」などと明記するためのルールを定めたリスト。

◆複式電鍵
double-speed key / side swiper
縦振れ電鍵の接点が一つしかないのに対し、短点と長点を打ち分ける目的で複数の接点を持っている電鍵。横振れ電鍵と同義語で用いられることもある。1880年代に米国ブンネル社が「ブンネル・ダブルスピードキー」(Bunnell double-speed key)という商標名で特許を取得している。

◆復調
demodulation
変調された電波の信号から元の情報(音声など)を復元すること。変調(modulation)と逆の処理をたどるので「復調」という。検波(detection)とほぼ同義語。

◆符号
code
コード。モールス通信に使う「とんつー」も符号の一種。

◆ふじ 1号
Fuji-1 / Fuji-Oscar / FO-12 / Fuji-Oscar 12 / Japan Amateur Satellite-one
国産で初めてのアマチュア衛星の名。「JAS-1」「FO-12」「Fuji-Oscar 12」など多数のコード名や愛称が付けられている。JARLが宇宙開発事業団(NASDA)の「H1ロケット」により1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げた。「ふじ」(Fuji)とも呼ばれている。これに搭載されたデジタル系とアナログ系のトランスポンダーを設計・製作は日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が担当した。FO-12は1989年11月に運用を終えた。なお、FO-12の開発時のコード名は「JAS-1」(Japan Amateur Satellite-one)だった。

◆ふじ 2号
Fuji-2 / Fuji-Oscar 20 / FO-20
国産のアマチュア衛星2号機。1990年2月7日に打ち上げられた。「FO-20」「Fuji-Oscar 20」などとも呼ばれている。上りは145MHz帯、下りは430MHz帯を用いている。その後はアナログ系のJAモードのトランスポンダーが運用可能だが、CWビーコンの発射が不安定になっている。なお、FO-20の開発時のコード名は「JAS-1b」(Japan Amateur Satellite-one b)だった。

ふじ 2号

 ©AMSAT

◆プッシュ・ツー・トーク
Push To Talk / Press-To-Talk
「PTT」または「プレス・ツー・トーク」ともいう。マイクのスイッチを指で押すと送信状態になり、指をスイッチから離すと受信状態になる機能。

◆不平衡型
unbalanced / unbalanced type
たとえばアンテナの給電線の場合は平衡型と不平衡型があり、平衡型に平行フィーダ、ハシゴフィーダなどがある。不平衡型に同軸ケーブルなどがある。対語は「平衡型」。

◆浮遊容量
stray capacitance
回路がそれ自体で持つキャパシタンス。高周波の回路の設計に際して重要となる。「漂遊容量」とも。

◆ブラインド・ハム
Blind ham radio operator
目が不自由なアマチュア無線家。

◆ブラウン・アンテナ
Brown antenna / ground plane antenna
グラウンドプレーン・アンテナの別名。アース(グラウンド)の代わりにラジアル(地線)を根元などに何本か取り付けている無指向性のバーチカルアンテナ。開発者の姓に由来しているというが、「ブラウン・アンテナ」の知名度は英語圏では低い。

◆プラグ
electric plug
リグのキージャックに差し込むための差し込み器具。6.5mmプラグと、それより一回り小さいミニプラグとがある。市販されている電鍵にプラグとケーブルが付属していることもある。ケーブルにミニプラグが付いていて、ミニジャックのリグにはそのまま差し込み、6.5mmジャックのリグにつなぐ場合は6.5mmアダプタを取り付けて使うこともできる。リグがiambic方式対応のエレクトロニック・キーヤーを内蔵している場合は3ピンのプラグ(いわゆるステレオプラグ)を使うことになる。なお英語圏で「plug」というと車のイグニッション・プラグと混同される。

◆プラズマ
plasma
全体としては帯電していないが、プラスとマイナスの電荷が高密度で分布している電離気体。物質は摂氏10万度以上で全て気体になり、ほとんど単原子イオンと電子に電離した状態になるが、このように混沌としたガス状態の気体。太陽風は主に陽子と電子からなるプラズマ流である。「太陽風」を参照。

◆プラズマ圏
plasmasphere
地球磁気圏のうち、電離圏から流出した比較的温度の低いプラズマで満たされている圏域。


 ©NASA

◆プリアンプ
preamplifier
マイクの出力が弱すぎたときマイクと送信機の間に挿入する増幅器がプリアンプ。受信機の感度を上げるときの増幅器もプリアンプ。一般的に、微弱な信号を強くする増幅器をプリアンプと呼称する。

◆プリセット
preset
前もって設定(セット)しておくこと。たとえばトランシーバのメモリーにチャネルの周波数をセットして記憶させておくことなど。

◆プリセレクタ
preselector
受信機の選択度(昆変調やイメジー妨害の除去能力)を向上させるために用いる装置。 俗称「プリセレ」。運用周波数に連動して自動的に動作するオートマチック・プリセレクタを内蔵したトランシーバもある。

◆ブリッジ
bridge
同一の4個の回路素子を菱形に配線して電気回路を組むこと。

◆プリフィックス
prefix
「接頭辞」という意味。コールサインでたとえば[JAφBCH]の「JA」はプリフィックス、「BCH」がサフィックス(接尾辞)である。コールサインは一般に(1)プリフィックス(prefix:接頭辞)(2)数字(3)サフィックス(suffix:接尾辞)が組み合わされる。コールサインでたとえば[JAφBCH]の「JA」はプリフィックス、数字の「φ」(ゼロ)はエリアコード、そして「BCH」がサフィックスである。(1)プリフィックスは1〜2文字の英数字、(3)サフィックスはQAA-QZZ以外の英字である。QAA-QZZを使えない理由はQ符号と混同されるからである。世界中でほとんどのコールサインのプリフィックスは慣習的に2文字以内だが、3文字を使っても有効である(たとえばアメリカならWAでもWAAでもかまわない)。以上のコールサインのルールに従わない例外が稀にある。

◆プリント配線
printed wiring
樹脂などの平たい基板の表面に印刷技術でプリント・パターンを描いて電子回路とした配線。「印刷配線」とも。配線ミスが防げるし回路を小さくすることができる。

◆プリント・パターン
Printed Circuit pattern / Printed Circuit Board pattern
プリント基板に描かれた回路の「配線図形」。パターンを半導体上に転写するのに重要な工程のひとつにエッチング(Etch / Etching)がある。

◆フルサイズ
full size
アンテナのエレメント長をコイルなどで短縮しないこと。たとえばダイポール・アンテナの各エレメントの長さを1/4波長(アンテナ全体で1/2波長)にすると最大の性能を引き出せる。これがフルサイズ。7MHz(波長は40m)向けのダイポール・アンテナをフルサイズアンテナにするには、アンテナ全体で1/2波長の20mにする。

◆フルスケール
full scale
受信機のSメーターなどが最大値を示すこと。ローカル局からの電波が非常に強いことを俗に「フルスケで届いています」などと言う。

◆ブレイク
break
1対1の交信に第三者が割り込むこと。

◆ブレイク・イン・タイム
break in time
交信中、送受を交替するときに、約1秒間の空白時間を空けること。第三者が割り込める瞬間をつくるのが目的。

◆ブレイク接点
break contacts of relay
電圧ONで開き、電圧OFFで閉じるよう設計されたリレーの接点。対語は「メイク接点」(make contacts of relay)。

◆フレキシブル・マイク
flexible microphone
マイクの細長い首の部分に柔軟性を持たせて首が自由に曲がるタイプのマイク。首の部分が蛇腹状になっているものが多い。卓上型マイクや車載用のマイクに用いられている。

◆フレケンシー
frequency
「周波数」のこと。「周波数」を参照。

◆プレス・ツー・トーク
Press-To-Talk / Push To Talk
「PTT」または「プレストーク」「プッシュ・ツー・トーク」ともいう。マイクのスイッチを指で押すと送信状態になり、指をスイッチから離すと受信状態になる機能。

◆ブロードバンド
broadband
「広帯域」。帯域幅(バンド幅:bandwidth)が広いこと。アナログ通信では周波数の単位のヘルツを用いて帯域幅を表現し、デジタル通信ではbps(1秒当たりのビット数)を単位として表現している。帯域幅が狭いことを狭帯域(ナローバンド)といい、広いことを広帯域(ブロードバンドまたはワイドバンド)という。インターネット接続ではADSLや光がブロードバンドである。対語は「ナローバンド」。

◆プログラム・スキャン
programmable scan
VHF/UHFモービル機では、あらかじめ周波数を設定し、自動的・連続的に受信周波数(受信チャネル)をワッチして誰がどのチャネルで交信しているか、それとも空いているかをチェックできるが、この機能をプログラム・スキャンという。144MHzと430MHzの両方を自動的にスキャンするよう設定できる機種もある。

◆ブロック・ダイヤグラム
block diagram
「ブロック・ダイヤグラム」は一般に、システムやプロセスをビジュアルに描いたものをいう。無線機では回路図や機械の系統図がブロック・ダイヤグラムに相当し、トランシーバのマニュアルの巻末に付属する。

◆プロトコル
protocol
通信の約束事を定めたもの。通信プロトコル、通信規約とも。ケーブルやコネクターのピンなどの物理的な仕様や誤り訂正の方法、ルーティングなどを定めた多数のプロトコルがあって初めて通信が成立する。アマチュアパケット無線では「AX.25」が採用され、標準となっている。

◆ブロワー
blower
「送風機」。「ファン」「冷却ファン」とも。発熱する電源装置、送信機などに内蔵され、放熱・冷却する。

◆フロント
front
八木アンテナなどのビームアンテナの前方。指向性が最大の方向。「F/B」「F/S」を参照。

◆フロントエンド
front end
信号を前処理するユニット。たとえばアンプ、オシレータ、ミキサーをまとめたモジュール。コンピュータでフロントエンド・プロセッサーといえば、基本ソフト自体が本来持っている機能を拡張する日本語入力FEP(ATOK等)などを指す。

◆ブンネル社
J.H Bunnell / JH Bunnell & Company
 米国ブンネル社。19世紀の著名な電鍵メーカー。アメリカ人のジェス・ブンネル(Jesse Bunnell)が1870年ごろに創業した。ジェス・ブンネルは南北戦争(1861-1865)の間、エイブラハム・リンカーン大統領(1809-1865)に仕えて電信技士として活躍した人物である。ブンネル社は高品質な電信装置のメーカーとして世界に名を馳せ、1888年には「サイドスワイパー」(Bunnell Double Speed Key "sideswiper")を世に送り出した。このサイドスワイパーは特許を取得したが、これが電鍵史上初のパドルだと言われている。ブンネルのサイドスワイパー(Bunnell sideswiper)はコレクターの間で珍重されている。コレクターたちはブンネルの電鍵だけでなくブンネルのサウンダー(電信音響機)も盛んにコレクションしている。ブンネル社は、その後、MNJインダストリアル社に吸収された。
ブンネル社を知る。



◆ベークライト
bakelite
合成樹脂の一種で、絶縁材や一般機器の材料に用いられている。ノブや台に用いている電鍵も多い。


© OZ2CPU

◆ベース
base
電鍵のコンポーネントを据え付ける台。合成樹脂、スチール、真鍮、クローム、オーク材などの堅い材木が用いられている。台の重量が軽すぎると打鍵したときにずれて使いにくい。普通、600グラムから1.3キログラムくらいが使いやすいとされている。

米国製Nye Speed-Xに真鍮のベースを取り付けたところ

◆ベアフット
barefoot
リニア・アンプなどを用いること無しにトランシーバ単体で運用している状態。「ベアフット局」などとも表現する。barefootの原意は「裸足」。

◆平衡型
balanced
たとえばアンテナの給電線の場合は平衡型と不平衡型があり、平衡型に平行フィーダ、ハシゴフィーダなどがある。不平衡型に同軸ケーブルなどがある。対語は「不平衡型」。

◆平衡変調器
balanced modulator
「バランスド・モジュレータ」。俗称「バラモジ」。

◆平行フィーダ
-
平衡型の給電線のひとつ。2本の電線を平行させて合成樹脂の皮膜で包み込む構造のものが代表的。別名「リボンフィーダ」とも。かつて地上波テレビ受像器のアンテナを引き込むために用いられていた。インピーダンスは300Ω。損失が少なく安価である。弱点は、周囲の干渉を受けやすく、また雨や塩分に弱いことである。現在では同軸ケーブルが主流となっているが、現在でも一部で自作アンテナのフィーダやエレメントに用いられている。

◆ベイル
Alfred Vail
モールス符号の考案者であるサミュエル・モールスを助けたアルフレッド・ベイル(1807-1859)。1837年、モールスがおこなった公開通信実験を見て助力と援助を申し出た。ベイルとモールスの関係は、ニューヨーク市立大学でモールスの授業を受けたことのある同大学の学生だった。ベイルの技術的な協力や資金援助が無ければ、現在のモールス電信符号の体系も、電鍵や通信機器の発展もあり得なかっただろうというほどの功績を挙げた。

◆並列
parallel
電池のプラス(陽極)とプラス、マイナス(陰極)とマイナスを互いにつないだり、複数の電源や素子の同種の端子を並べて接続したりするやり方。「パラレル」とも。対語は「直列」。

◆並列共振回路
parallel resonance circuit
コイル(インダクタ/インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタ/キャパシタンス)を並列につないだ回路。共振したときに電圧が最大になる。「共振回路」を参照。

◆ヘッドセット
headset / headphone
マイクロホンとイヤホーンをペアにした受送話器。米国では普通のヘッドホンも headset という。

◆ペディション
pedition / expedition
日本で「ペディション」(エクスペディションまたはペディ)というと、JCCやJCGのために日本国内の市や郡へ移動して運用すること、そして海外遠征を意味する。なお、DX'erのためにアマチュア無線局が少ない国・地域へ遠征して運用することを「DXペディション」という。遠距離を意味するDXと、遠征を意味するexpeditionを掛け合わせた言葉。英語圏では「DX pedition」と表現しても「DX expedition」と表現しても意味が通じる。

歴史的な「ゴンワキ DXペディション」:「Gon-Waki pedition」を参照。
左からCharley Orr(W4NND)、Buddy Buttizoni(W3GRP)、Bob Denniston(1948年、VP7NG局で)


 ©ARRL

◆ヘテロダイン
heterodyne
受信機の検波方式のひとつ。受信機の回路に局部発信器をつくり、この信号と、受信した入力信号を混合器でミックスして周波数成分の和/差を検波する。
一方、「スーパー・ヘテロダイン」(super heterodyne)は、受信した高周波信号をいったん中間周波数に変換して増幅し、検波して音声などの信号にする。ヘテロダイン方式と同様、受信回路に局部発信器をつくり、この信号と、受信した入力信号を混合器でミックスして周波数成分の差を検波する。同調回路と局部発振器を連動させることにより、受信周波数を変えても一定の中間周波数(455kHzなど)にするため安定性が高く、感度や選択性の性能も良い。スーパー・ヘテロダイン方式を発明したのはアメリカ人のエドウィン・アームストロング(Edwin Howard Armstrong、1890〜1954年)である。

◆ヘリカル・アンテナ
helical antenna
ヘリカルは「螺旋状」(らせんじょう)という意味。ロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けたアンテナ。馬車の御者が使うむちのような形をした「ヘリカル・ホイップアンテナ」(helical whip antenna)は、主に車載用のモービルアンテナとして用いられていて、同じくロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けた構造をしている。

◆ヘルツ
hertz / Hz
電波などの波動速度と周波数を表す単位。記号はHz。周波数は補助単位の接頭語を付けるのが普通で、たとえば1秒当たりのサイクルが1,000回だと1,000Hzではなく1kHz(キロヘルツ)と表す。同様に1秒当たりのサイクルが100万回だと1MHz(メガヘルツ)と表し、1秒当たりのサイクルが10億回だと1GHz(ギガヘルツ)と表す。「周波数」「波長」を参照。

◆ヘルツ
Heinrich Rudolf Hertz
無線通信の基礎を築いたドイツの物理学者のハインリッヒ・ルドルフ・ヘルツ(1857〜1894)。1885年に独カールスルーエ工科大学の教授となり、1888年に2つの電極の間に高電圧の交流を流して火花を飛ばせて電磁波を発生させる実験に成功。これにより電磁波の存在を明らかにした。イタリア人のマルコーニは、このヘルツの実験に刺激されて無線電信の実用化と商業化に至った。
故人をしのぶ。


by The Rock Radio Experience England

◆ペレラ
Thomas B. Perera
電鍵の研究家・コレクターとして名高いアメリカ人、トム・ペレラ。ニュージャージー州立モントクレア大学の教授。「Perera's Telegraph Collector's Guide」「Telegraph Collector's Reference」などの著書がある。

◆ベンチャー
Bencher, Inc.
iambicパドルのメーカーとして有名なアメリカの電鍵メーカー。または同社の製品のパドルの呼称。本社はアメリカ合衆国イリノイ州「241 Depot Street Antioch, IL 60002」(電話847-838-3195、Fax847-838-3479)にある。
 アメリカ市場では黒い四角いベース(台)にゴム足が3個のBY-1というiambicパドルに人気がある。他に、白く光るクロームベースのBY-2、部品もベースもゴールドのBY-3、部品がゴールドでベースが黒いBY-4も販売されている。
 なお日本市場では、BYシリーズのパドルにスプリング・アジャスタを付けたJAシリーズが出回っている。このアジャスタはパドルのタッチの強弱を調整するもので、BYシリーズにはこのアジャスタは付いていない。ベンチャーといえばiambic方式のデュアルレバー電鍵という印象が強いが、他にシングルレバーのST-1〜ST-4も生産している。またハンドキー(縦振れ電鍵)のRJ-1とRJ-2も生産している。これらのベンチャーの電鍵の中には、銀のコンタクトに金メッキが施した製品もある。これは銀や金は装飾のためでなく、高速に打鍵したときに接点がチャタリングを起こすのを防ぐためのもの。
「ベンチャーのカタログページ」

◆変調
modulation
電波やケーブルで通信をおこなうため、信号に応じて搬送波(キャリア)を変化させること。「モジュレーション」とも。変調方式には、搬送波の振幅を変化させて変調する「振幅変調」(AM変調:SSBも含む)、搬送波の周波数を変化させる「周波数変調」(FM変調)、搬送波の位相を変化させる「位相変調」(フェーズ変調)、パルスの振幅・位相などで変調する「パルス変調」などがある。対語は「復調」。

◆偏波
polarization
偏波は電波の電界が振動する方向を表す。大別して垂直偏波、水平偏波、円偏波などがある。



◆ポータブル
portable
移動運用を意味する言葉。電話交信の場合はコールサインの最後に移動先のコールエリアを「ポータブル ゼロ」などと言う。電信では移動先はスラッシュ記号を使って伝える。。たとえば「CQ DE JA0BCH / 1」と打電した場合、「/ 1」(−・・−・ ・−−−−)はφ局が1エリアで移動運用していることを示す。

◆ホームブルー
home brew
「自家製の」「自作の」。アメリカ人は自作アンテナを「"home brew" antenna」(自家製アンテナ)などと表現する。「ハンドメイド」(handmade)に近い表現。

◆ボイス・コントロール
voice control / VOX
「音声制御」。声で装置の電源をON/OFFしたり、質問に答えたり、質問して答えを得たりすること。俗に「ボイコン」。送信機やトランシーバでは、手動で送信スイッチをON/OFFすることなく声を出すだけで送信し、声を出すのをやめれば受信に切り替えることのできるメカニズム。「VOX」(Voice Operated Relay)とも。外付けの装置でボイス・コントロール機能を実現することもあるが、最近のトランシーバはボイス・コントロール機能を内蔵している機種が多く、前面パネルに「VOX/MAN」(音声制御/手動)と表示された切替スイッチが備えられている。バックグラウンドの小さな物音や声でいきなり送信モードに入るのを防ぐために「GAIN」(マイクの感度)調整つまみや「DELAY」(反応遅延)調整つまみが搭載されているのが普通である。

◆ホイップアンテナ
whip antenna
モノポール・アンテナで接地アンテナの一種。車載アンテナの多くは垂直のホイップアンテナである。HF帯でも用いられている。エレメントの長さは全波長だが、ローディング・コイルを挿入して長さを短縮することもある。「ヘリカル・ホイップアンテナ」(helical whip antenna)も主に車載用のモービルアンテナとして用いられていて、ロッドにエレメントを螺旋状に巻き付けた構造をしている。

◆方向探知
direction finding / Radio Direction Finding
指向性アンテナを用いて電波が来る方向を探り、発信源を突き止めること。無線方向探知を「RDF」(Radio Direction Finding)という。アマチュア無線では世界中でRDFの技術を競うフォックス・ハンティングやフォックス・テーリングの協議会が定期的に開催されていて、広い範囲のどこかに隠された一つまたは複数の発信源を、携帯型の指向性アンテナと受信機を頼りに探し出す。ARDF(Amateur Radio Direction Finding)ともいう。世界中に
RDFの関連団体がある。

◆傍受
monitor / watch / intercept
「ワッチ」すること。交信相手でない者が無線で通信内容を聴くこと。

◆保証認定
-
アマチュア無線局の開局・変更申請の保証業務を指す言葉。購入した無線機が技適機種で、改造しないで使用する場合は、その無線機に付属する書類を管轄の総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む)に提出するが、それ以外のケースでは保証認定が必要である。

◆補助単位
Prefix Unit / Unit Prefix
基本となる単位の分量・倍量単位を意味する「補助計量単位」のこと。たとえば周波数を表す単位であるヘルツ(記号はHz)を補助単位で表すと、1,000Hzは1kHz(キロヘルツ)、100万Hzは1MHz(メガヘルツ)、10億Hzは1GHz(ギガヘルツ)となる。単位接頭語辞典

◆ボリューム
volume / variable resistor
一般には「音量」という意味。「可変抵抗器」を指すこともある。音量などを調整する目的で無線機やオーディオ装置などに広く用いられていて、パネルにあるつまみを回して音量などを変化させることができる。無線機器の場合は機器内部の基板上に非常に小さな可変抵抗器が搭載されていることがあり、機器のカバーを外して基板上の可変抵抗器の回転部分を小さなドライバーなどで回して種々の設定をおこなうこともある。「VR」と略す。

◆ボルト
volt / voltage
電圧の単位。記号は「V」。イタリアの物理学者ボルタ(Alessandro Volta、1745〜1827年)に由来する。

◆ホレイス・マーチン
Horace G. Martin
1903年にバイブロプレックスのバグキーをデザインしたことで知られるアメリカ人。

マーチン・フラッシュ

◆ホワイト・ノイズ
white noise
「白色雑音」とも。一様な強度と広い周波数成分を持つランダムな信号。電磁波の一種である光のうち、全ての周波数成分を含んだ光は「白」であることに由来する。

◆ポンチ
punch
ドリルの刃の先端が逃げるのを防ぐ目的で、穴を開ける中心や交点部分にあらかじめ小さな凹みを付けるための工具。


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